全期間固定の住宅ローンは正解なのか?

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「全期間固定の住宅ローンは正解なのか?」です。

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住宅ローンは、金利が低ければ低いほど支払う利息は少なくなります。
したがって、借入金額が大きい人ほど本来はできるだけ低金利の商品を選ぶべきだと考えるのが自然です。

しかし実際には多くの資金を借りなければならない人ほど、自己資金が十分ではなかったり、土地の購入も同時に進めなければならなかったりと、資金計画に余裕がないケースが少なくありません。
そのような状況で目先の金利の低さだけを基準に住宅ローンを選んでしまうと、将来的なリスクを抱えることになります。

借入額が大きい人ほど多少金利が高くなったとしても、返済額が最後まで変わらない全期間固定型の住宅ローンを選ぶという考え方は十分に合理的です。

なぜなら、金利上昇によって返済額が増えるリスクを完全に避けることができるからです。
これまで計画的に貯蓄をしてこなかった人が、家を建てたことをきっかけに急に貯金上手になるとは限りません。

そのような状態で、将来の金利動向によって返済額が変わるローンを選んでしまうと、家計は不安定になります。
返済額が一定であるという安心感は、それだけで大きな価値があるのです。

2026年2月時点の住宅ローン金利を見ると、変動型はおおよそ0.5%〜0.7%前後、全期間固定型は1.8%〜2.1%前後が一つの目安になっています。
両者の差は1%台前半程度ありますが、この差をどう捉えるかが判断の分かれ目になります。

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とはいえ、全期間固定型にも注意すべき点があります。

まず一つ目は、初期費用が比較的高くなることです。
代表的な全期間固定型である住宅金融支援機構が提供するフラット35では、融資手数料が借入額の約2%前後かかるケースが一般的です。
仮に3,000万円を借りる場合、約60万円程度の手数料が必要になります。
この費用は自己資金から支払うことが多いため、その分だけ建物や土地に充てられる予算が減ることになります。
資金計画を立てる段階であらかじめ織り込んでおく必要があります。

二つ目は、金融機関ごとに条件が大きく異なることです。
ある銀行では全期間固定金利が2.2%程度に設定されている一方で、フラット35が1.9%前後で利用できる場合もあります。
また、住宅性能によって一定期間金利が引き下げられる制度が適用されるケースもあります。
同じ「固定金利」という言葉でも、内容や総支払額は大きく変わります。
必ず複数の商品を比較し、総額で判断することが重要です。

三つ目は、借り過ぎてしまうリスクです。
フラット35は銀行融資と比べて借入可能額が大きく出る傾向があります。
例えば年収400万円の場合、銀行では2,300万円から2,600万円程度が目安となることが多いのに対し、フラット35では3,000万円台半ばまで借りられる可能性があります。

夫婦合算で年収600万円の場合も、銀行では3,500万円前後が目安となる一方で、フラット35では5,000万円前後まで借入可能と判断されるケースもあります。

しかし、借りられる金額と無理なく返せる金額は別物です。
固定金利で安心できたとしても、借入額そのものが大きければ家計への負担は重くなります。

教育費や老後資金、将来の修繕費などを考慮したうえで、本当に無理のない返済額かどうかを見極めなければなりません。

全期間固定型は、将来の金利上昇に左右されないという大きな安心感があります。
一方で、初期費用や金利水準、借入可能額の大きさなど、見落としてはいけないポイントも存在します。

住宅ローン選びは、単に金利の高い低いだけで決めるものではありません。
借入額、毎月の返済額、そして将来のライフプランまで含めて総合的に判断することが大切です。

家や土地の魅力に目を奪われる前に、まずは現実的な資金計画をしっかりと固めることが後悔しない家づくりにつながります。

それでは、また次回。

銀行が推奨する住宅ローンは本当にいい商品なのか?

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「銀行が推奨する住宅ローンは本当にいい商品なのか?」です。

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銀行のパンフレットに記載されている「10年固定」という文字を見ると、この商品を"固定金利"商品だと誤解してしまう方も多いのではないでしょうか?

また、あなたが銀行の窓口に一見客として行った場合、基本的に銀行側が勧めてくる住宅ローンは「3年固定」や「10年固定」といった当初期間固定型のローンが多いです。

しかしまず理解しておかなければならないのは、これらが実は変動型のカテゴリーに属する商品であるということです。

この商品は名前の中に「固定」という言葉があっても、借入期間中ずっと金利が固定されるわけではなく、固定期間満了後にはその時点の金利をもとに同じ商品を選ぶか、あるいは変動型に切り替えるかを選択しなければなりません。

つまり、いずれにしても固定期間終了後に金利を再設定する必要があり、返済額が変わる可能性が高いということです。

だからこそ銀行がすすめてくれたからといって安易に選ぶのではなく、将来的な金利上昇のリスクを理解したうえで商品を選ぶべきなのです。

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そして、当初期間固定型を選ぶうえで特に理解しておくべきことが、「将来の返済額アップに上限がない」という点です。

変動型住宅ローンでは、返済額の増加率は一定期間ごとに見直されますが、日本の一般的な仕組みでは返済額アップは上限125%などある程度制限されたルールがあります。

しかし、 当初期間固定型にはこのような制限がありません。
そのため未払い利息がない反面、返済額が大きく増える可能性もあります。

例えば、当初固定期間中の返済額が80,000円だったときに、見直し後に返済額が40%上がるとしたら、80,000円×1.4=112,000円となり返済額が一気に増えてしまう可能性があります。

また、当初期間固定型は当初の固定期間中だけ金利の優遇幅が大きく、その後は優遇幅が縮まるパターンが一般的です。

例えばこんなケースです。
店頭表示金利:約2.8%
当初3年間の優遇幅:約2.0%引き下げ
→ 当初3年間の適用金利:約0.8%

↓(3年後)

店頭表示金利:約2.8%
優遇幅:約1.3%引き下げ
→4年目以降の適用金利:約1.5%

このように、市場金利が上がっていなくても優遇幅が縮まることで金利が0.6%前後上がる例は実際に起こり得ます。

さらに、市場全体の金利が上昇すればたとえば店頭金利が2.8%→3.8%に上がれば、3年後の適用金利は約2.5%となり、4.8%に上昇すれば**約3.5%**程度になる可能性もあります。

では、これを実際の数字に当てはめてみましょう。
借入3,000万円、35年・元利均等払い、ボーナス返済なし、当初3年間の金利0.8%で試算してみます。

この場合、当初3年間の毎月返済額は約78,000円になります。
そして3年後、もし市場金利が上昇せず当初優遇幅が縮小した結果、適用金利が1.5%になったとすると返済額は約86,500円 となります。

これは返済額の上昇率が約11%です。
ではもし市場金利が1%上昇した場合は?

3年後の適用金利は約2.5%になり、返済額は約99,000円となります。
返済額の上昇率は約27%です。

さらに市場金利が2%上昇した場合は適用金利は約3.5%となり、返済額は約113,000円にまで上昇し、上昇率は約45%に達する可能性もあります。

いかがでしょうか?

「そんなに金利が上がることはないでしょ?」と思われるかもしれません。
しかし、金利が将来必ず動かないという保証はありません。
それゆえ、変動型も含め住宅ローンを選ぶ際は、商品のメリットだけでなく、こうしたリスクも理解したうえで選ぶ必要があります。
後になって気づき取り返しのつかない状況にならないよう、住宅ローン選びの前にこうしたリスクまで把握しておくことを強くおすすめします。

それでは、また次回。