vol.173 設計で大事な2つの視点

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「設計で大事な2つの視点」です。

----------
建てられている家のほとんどが、
「お客さんが持つ要望」を中心に
「耐震」「直射光」「動線」を
考慮した間取りになっていますが、
ここには間取りを考える上で
非常に大切な視点が抜け落ちています。

「周りからどう見えるか?」と、
「周りのことがどう見えるか?」です。

vol.173simplenoteblog2.png

例えば「南向きの土地」は
南からの直射光を最も長い時間」
最も有効に室内に取り込める土地ですが、
一方でその窓からは必然的に
「光」と「熱」と共に「視線」も
家の中に入ってくることになります。

結果、それを防ぐために
カーテンを設置せざるを得なくなります。
そして、そのせいで光が入ってこなくなり、
いざ住んでみると、
思っていたより家の中が暗いということなります。
南からの光だけに頼りするあまり、
それ以外の方向の窓を全て小さくしていることもあって。

また、それを想定して
高いお金をかけて境界に高い塀を立てたり、
庭に大きな目隠しをしているお家もありますが、
これらの対処療法では丸見え感を十分に防ぐことは出来ません。

結果、更なる浪費を生んだにもかかわらず
結局、カーテンが開けられず
薄暗い中での生活を強いられることになります。

これが「周りからどう見えるか?」まで考慮しないまま
建ててしまった家が迎える結末です。

と言っても、
明るさと開放感はなくなるものの、
カーテンによって熱く、眩しく、
さらに日焼けの原因となる直射光の侵入を
ほぼほぼシャットアウトしてくれるので、
テレビ画面の見にくさや、
暑さや日焼けなどは防ぐことが出来るで、
そのあたりはメリットかもしれませんが。

vol.173simplenoteblog1.png

✔️周りのことがどう見えるかも大事!?

そして、もう1つ大事な視点が
「周りのことがどう見えるか?」ということです。

こちらは主に「南向き以外の土地」
で考えた方がいいことなんですが、
その理由は南向きの土地以外の場合、
建てる家の南には基本隣の家が建っているからです。

つまり、セオリー通りにリビングを南に配置してしまうと、
今度は直射光が入ってきにくくなるのはもちろんのこと、
それに加えて、その窓から見える景色が
前に建つ家の裏側となるため、
カーテンを開けている状態だと
美しくない裏側の景色が目の前に広がる
ことになってしまうからです。

給湯器や室外機やゴミ箱がずらりと並び、
換気扇からの黒ずんだ汚れや
緑色のコケによって荒んでしまった壁を
ずっと見続けることになりますからね。

南向きの土地のように
向こうから見られることは基本ないと思うので、
カーテンは開けられるものの
今度は汚い景色しか見えないという
状態に苦しむことになるわけです。

なので、全ての土地において
必ず「周りからどう見えるか?」
と「周りのことがどう見えるか?」まで考えた上で
間取りをつくっていただくのが
最良の方法だと考えています。

この2つは快適な暮らしを手に入れるために、
つまり、明るさ・開放感・居心地を
ベストな状態で実現するためには絶対に必要な要素なので
決して忘れないようにしていただければと思います。

それでは、また次回。

vol.172 「平屋は高くなる」は本当なのか?

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「平屋は高くなるは本当なのか?」です。

----------
現在「平屋」は空前のブームになっており、
SIMPLENOTEの家でも平屋をオススメしています。

しかし「平屋にすると高くなる」というイメージもあり、
敬遠している方もいらっしゃるのではないでしょうか。

まず高くなりそうなのが「家そのものの価格」。
そして、平屋を建てるとなると
それなりに広い土地がいりそうだから土地の価格も高くなりそう。
かつ敷地が広がる分、外構工事までも高くなりそう。
と、普通は思ってしまいますよね。

では今回は、
そんなイメージから平屋を諦めかけそうになっている方に
「実際のところはどうなのか?」お伝えしていきたいと思います。

vol.172simplenoteblog2.jpg

✔️平屋と2階建ての価格比較

同じ材料を使い同じような仕上げで
平屋と2階建てをそれぞれ建てるとしたら、
同じ面積で考えると坪あたり10万円前後価格は違ってきます。
35坪だと350万円ほど平屋が高くなるという感じですね。

しかし、実を言うと
この比較方法自体がそもそも間違っています。
同じ面積で比較するということが...です。

2階建てには階段が必要ですが、
平屋には階段が必要ないからです。
ゆえ、この場合の比較方法は
35坪から2坪(1•2階それぞれ1坪ずつ)を
差し引いた33坪で比較するのが正解です。

とはいえ、そうしたとしても
まだまだ価格は平屋の方が高いのが現実です。

では、ここから
2階建てから平屋にすることによって
必要じゃなくなるものについて考えていきたいと思います。

まず、議論したいのが「トイレ」。
2階建てでは1•2階両方にトイレが必要だと思います。
夜中にわざわざ階段を下りて1階までトイレに行くのは
だいぶ面倒臭いですからね。

それに対し平屋だと
トイレが1箇所でもいいのではないでしょうか。
もちろん、混雑しがちな家庭だと
2つ必要かもしれませんが。

続いて議論したいのが「廊下」。
2階建ての場合、
階段を上り切ってからそれぞれの部屋に行くためには
確実に廊下が必要になるのに対し、
平屋にすれば廊下を無くそうと思えば、
ゼロにすることだって出来ますからね。

そして、この「トイレ」と「廊下」を無くしてもいいとしたら、
先程の面積からさらに2坪ほどマイナスすることが出来ます。
先程の続きで考えると31坪ということですね。

vol.172simplenoteblog1.jpg

では、ここで一旦
価格の比較をしてみましょう。

仮に2階建ての坪あたりの価格を70万円、
平屋の坪あたりの価格を80万円としたら、
2階建て:70万円×35坪=2450万円
平屋:80万円×31坪=2480万円となり、
実はそう価格が変わらないということが
お分かりいただけたのではないでしょうか。

部屋の数も収納の数も部屋の広さも収納の広さも
全くさわっていないので、
ホントに無くても問題ないものだけを抽出したという感じですね。

というわけなので、「平屋は建築費が高くなる」は
一旦、頭の中から帳消しにしていただけたらと思います。

✔️土地の価格はどうなのか?

平屋は、2階建に比べて1階の面積が大きくなるため
その分、土地も広く必要となります。

しかし、冷静に考えてみると、
ほどほどの田舎であれば55〜60坪という広さで
販売されている土地の数はとても多く、
実を言うと、これだけの広さがあれば
充分、平屋を建てることが出来ます。
駐車場を3台確保しつつです。

平屋を建てたいからと言って、
とても広い土地を探す必要は
全くと言っていい程ないんですよね。

広げれば広げるほど
土地価格どころか外構工事費用も高くなるだけでし、
もっと言うと固定資産税も高くなるだけですからね。

そんなわけで、結論としては、
「平屋だから高くなる」というのは
必ずしもイコールではないということです。

なので、平屋を建てたいと思っている方は
ぜひぜひ、そのまま平屋で突き進んでいただけたらと思います。

それでは、また次回。

vol.171 一網打尽な提案

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「一網打尽な提案」です。

----------
物が溢れやすく生活感が出やすい
リビングダイニングキッチンを
美しい状態で保ちやすくするには、
「部屋や収納をどこに配置するか」が大事です。

例えば「子供たちの部屋は2階につくるもの」だと
一般的に考えられていますが、
この当たり前には疑問が残ります。

子どもたちは小さいうち自分の部屋を全く使わないし、
思春期となり使い出したとて
寝る前までリビングで過ごすのが
日常的に当たり前となっていることから、
いつも使うものは基本、
常にリビング付近に置きっぱなしになっていませんか?

もちろん、時々は張り切って掃除をして
一旦、荷物をまとめて自分の部屋に
持っていくのですが、
10日もすれば元通りになっているということを繰り返した結果、
不毛さに気が付いてそのまま放置ということもあり得ます。

そんな理由もあり、
SIMPLENOTEの家では子ども部屋を基本1階につくることを
オススメしているのですが、
これは子ども部屋に限らず
寝室にも同じことが言えるのではないでしょうか。

着ていた服をわざわざ2階まで持っていくのも
明日(今日)着る服を1階に持って下りてくるのも
なかなか面倒ではないでしょうか。

結果、いつも着るものは
基本ダイニングチェアーに引っ掛けているし、
鞄なんかもダイニングチェアーの上に
置きっぱなしになっているという家庭も多いのではないでしょうか。

そんなわけで、
こんな状況を踏まえると、
「だったら絶対平屋がいいよね!」
となりませんか?

vol.171simplenoteblog1.jpg

✔️平屋に家事楽なんて関係ない?

家事楽な家にしたいというご要望を
家を建てる誰しもがお持ちだと思いますが、
こと「平屋」に関しては、
そんなことを気にする必要は一切ないのではないでしょうか。

部屋や収納がリビングダイニングキッチンと同じフロアにあるため、
自分たちの荷物や服を自分の部屋に片付けるのが
2階建住宅のように億劫じゃなくなるし、
そうなればリビング付近に物が溢れにくくなるので、
仕事に行っている日中にルンバのタイマーをセットしておけば
勝手に床掃除をしてくれるからです。

また、洗濯の一連の流れに関しても
上下移動がない上、移動距離も短くなることから
2階建てに比べて圧倒的に楽になるのは間違いないと思います。

ましてや平屋の最大の難点である
防犯とプライバシーを担保するために
「中庭」があるお家にしてしまえば、
干すも取り込むも片付けるも全てわずか数歩でこなせますからね。

そんなわけで、日常生活の困った、を一気に解決し
より豊かに暮らしを送っていただくために
SIMPLENOTEの家では平屋を中心とした家づくりをしているというわけです。

それでは、また次回。

vol.170 収納が多いに越したことはない?

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「収納が多いに越したことはない?」です。

----------
「収納は多いに越したことはない」
収納が足りず部屋に物が溢れている状態を想像すると、
あっさりこういう結論に至ってしまうのですが、
収納を多くつくれば建築コストも上がってしまうため
(家の面積が大きくなるから)
単純にたくさんつくればいいというわけではありません。

また、人は「隙間があればそこを埋めたくなる」
という習性を持っているため、
たとえ収納をたくさんつくったとて
その余白に合わせて物を増やしてしまう可能性が高いことから
収納のつくり過ぎにも注意した方がいいかもしれません。

「物が増える」ということは
「無駄遣いをしている」可能性が高い
ということでもありますしね。

というわけで今回は、
「収納」に対するSIMPLENOTEの家の考え方について
お伝えしていきたいと思います。

これを覚えていただくと
不用意にコストを上げることなく
充分な収納量を備えたお家を建てやすくなると思うので、
知識アップのために最後までお付き合いください。

vol.170simpeloteblog1.jpg

✔️床ではなく壁で考える

その収納にどれだけの物を納めることが出来るかは、
床の多さというよりも壁の多さに大きく依存します。

例えば、2帖という収納は
1m69cm×1m69cmという広さですが、
この収納は壁をどう使うかによって収納の分量が違ってきます。

全部で4面ある壁のうち
2面しか使えないように入口をつくった場合、
1.69m×2面=3.38mが棚1段あたりに置ける分量ですが、
これを3面使えるように入口をつくった場合、
1.69m×3面=5.07mにまで棚1枚あたり置ける分量が増えますからね。

ゆえ、収納を考える時は、
単純に広さだけを見るのではなく
その壁をどれだけ有効活用出来そうなのかに
着目していただければと思います。

それさえ出来るようになれば、
ある程度正確に収納の容量が
把握出来るようになるんじゃないかと思います。

✔️回遊動線は落とし穴

そしてこの考え方を知っていただくと
回遊動線(グルグル回れる通り抜け動線)が
いかに収納に悪い影響を及ぼしやすいのかを
ご理解いただけると思います。

通り抜けられるということは、
その通路に面した壁を全く使えなくなる
ということだからです。

先程の2帖の収納の場合で考えると、
4面ある壁のうちたった1面しか使えなくなる
ということになりかねませんからね。

つまり1帖の収納と同じだけの容量しかないということです。
2帖という広さは1帖という広さよりも
30〜40万円も多くコストがかかっているというのにです。

そんなわけで回遊動線に関しても
便利そうだというメリットだけに着目するのではなく
その裏にこんなデメリットがあることも
ご理解いただければと思っています。

vol.170simplenoteblog2.png

✔️収納に限らず部屋にも壁が必要

さらにこの考え方は
収納だけじゃなく部屋でも同じことが言えます。

4面ある部屋の壁のうち、
1面には入り口のドアがつくとして
もう1面にクローゼットをつくり
残りの2面に窓をつくってしまったら、
その部屋には全体を使える壁がなくなってしまうからです。

結果、物の配置が難しくなるし、
模様替えをする余地もなくなるし、
コンセントの位置もかなり限定されてしまいます。

ゆえ、間取りを考える時、
いかに壁を多くつくるのかを
SIMPLENOTEの家では意識しているというわけです。
壁が増えれば収納が安定するだけじゃなく、
耐震も良くなるし断熱効果も良くなりますしね。

もちろん、そのためには
最小限の窓で採光と風通しを確保出来る
間取りにしないといけませんが。

というわけで、
最後は少し話が脱線しましたが、
とにかく収納は「床」ではなく「壁」が重要であることを
ぜひ知っておいてもらえたらと思います。

それでは、また次回。

vol.169 なぜカーテンがいらない家にこだわるのか?

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「なぜカーテンがいらない家にこだわるのか?」です。

----------
カーテンの役割は、

①光量を調整する
②窓から侵入する外気を防ぐ
③プライバシーを担保する
④見たくないものを隠す(外)
⑤見られたくないものを隠す(中)

この5つがあると言われていますが、
これら5つを全て満たすために
全窓へのカーテン設置を前提として
間取りや窓を考えてしまうと、
開放感や明るさが犠牲になります。

常に③〜⑤を満たそうとすると
カーテンを開けたままにしておくことが
出来なくなってしまうからです。

また、カーテン費用は
基本建築費用に入っていないため、
数が増えればその分コストへの跳ね返りが大きくなるし、
それに加えて
一つ一つデザインや素材にこだわっていくとなると
なおのことその跳ね返りが大きくなります。

そんなわけでSIMPLENOTEの家では、
出来るだけカーテンが必要のない
間取りや窓づくりをするように常に心がけています。

カーテンが必要なくなれば、
カーテンを洗う手間もなくなるし、
レールの拭き掃除もしなくて済みますね。

基本カーテンが必要ない家にするためには、
周りから自分の家がどのように見えるのかを考えながら
間取りを考えなければいけません。

例えば、南向きの土地で間取りを考える場合、
安易に南向きにリビングをつくり
南向きに窓をつくってしまうと外からの視線が気になり
四六時中カーテンが開けられない家になってしまうので、
基本このようなレイアウトでは間取りをつくりません。
このお家は直射光が眩し過ぎるせいで
きっとテレビの画面も見にくいでしょうしね。

また、北向きの土地の場合、
南向きと違ってリビングが
人の目に触れる可能性はグンと下がるものの、
裏側に家が建っているとしたら、
室外機や給湯器やゴミ箱が陳列され、
換気扇から出てくる黒カビで薄汚れた
家の裏側がリビングから見える景色となり
結局カーテンが開けられなくなるので、
この場合も安易にリビングを南に持ってくるのではなく、
どうすればリビングの窓から
カーテンを取り除くことが出来るのかを考えつつ
間取りをつくりあげていきます。

大半の時間を過ごすリビングの窓に
カーテンがいらなければ、
光もたっぷりと入ってくる上
外や空が見えることで開放感が出て、
最高の空間が出来上がりますからね。

vol.169simplenoteblog1.png

✔️カーテンがいらない設計にする利点

カーテンがいらないお家をつくることが出来れば、
日中照明をつける必要が一切ありません。
常時入ってくる自然光を防ぐものがなくなるからです。
晴れの日はもちろん曇りや雨の日だとしてもです。

そして、カーテンがいらないお家をつくることが出来れば、
カーテン代が必要なくなります。
おそらく50万円前後のコストが。

また、カーテン代が浮くと共に
窓のコストも減ることになります。
カーテンがいらないことで最小限の窓だけで
採光と換気が確保出来るようになるからです。

さらに、冒頭でもお伝えしたように
カーテンを洗う必要もなくなれば
レールの拭き掃除もいりません。

この他、カーテンがいらなくなり
窓の数を最小限に出来れば、
その分、壁が増えることになるので
耐震性も高くなるし断熱性も高くなります。

窓が少なくなれば、
外壁を汚す窓からの垂れジミも少なくなるし、
戸締りの心配もきっと減るでしょうしね。

というわけなので、
カーテンの数を少しでも減らせるよう、
周りから自分の家がどう見えるのか?
そして、カーテンがいらないようにするには
どうすればいいのか?
こういった視点で間取りを考えてみるといいでしょう。

それでは、また次回。

vol.169simplenoteblog2.png

vol.168 建築中に必要となる利息の話

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「建築中に必要となる利息の話」です。

----------
住宅ローン返済は、
家の引き渡しが終わった時点から
始まるのが一般的な流れですが、
この流れで進めた場合綿密に申し上げると、
土地をローンで購入する方は土地の支払いをした時点から、
土地を現金で購入する方や土地を買わなくていい方は
中間金のお支払いをした時点から、
元本は据え置いたまま利息だけ支払うことが一般的です。

ゆえ、住宅ローンを利用するにあたっては
金利や保証料の有無やパーセンテージ、
その他最初にかかる費用などに加え、
この利息がどれくらいかかるのかも
一緒にお聞きしていただくことをオススメしています。

では今回は建築中にかかる利息について
お伝えしていきたいと思います。

「分割融資」と「一括融資」の2つのパターンがあり、
どちらを選ぶかによって利息の額が違ってくるのですが、
それぞれにメリットもあればデメリットもあるし、
どちらも選択できる銀行とそうじゃない銀行があるので、
まずは基本的な知識を身につけていただければと思います。

✔️分割融資と一括融資の違い

土地から買って家を建てる場合、
銀行からの融資が必要となるのは
①土地の支払いをする時
②家の中間金を支払う時
③家が完成し残金を支払う時
この3つですが、
①や②の時点から住宅ローン返済が始まってしまうと、
家賃とローンを二重払いしないといけなくなるため、
基本、銀行は①や②のタイミングで融資を実行しても
元本は据え置いたまま利息だけを返済してください
という形をとっています。

そして「分割融資」とは、
①のタイミングではその際に必要となった
融資金額だけで利息を計算し、
②のタイミングを迎えた時点で、
①に加えて②の利息も発生するという流れを取るのに対し、
「一括融資」とは、
①のタイミングで借入額全額に対して利息を発生させる
という流れを取ります。

具体的な数字を当てはめてみると
仮に借入額が4000万円で金利が1.4%、
土地取得にかかる費用が1000万円で
土地購入から住宅ローン返済までの期間を6ヶ月、
建築費の中間金が2000万円で
中間金支払いから住宅ローン返済までの期間を3ヶ月だとしたら、

「分割融資」の場合は、
1000万円×1.4%÷12ヶ月×6ヶ月=約70,000円(土地利息)
2000万円×1.4%÷12ヶ月×3ヶ月=約70,000円(建物利息)
合計約140,000円

「一括融資」の場合は、
4000万円×1.4%÷12ヶ月×6ヶ月=約280,000円

といった感じですね。
こうやって見比べてみると
「分割融資」の方が利息の負担が小さいのは
お分かりいただけたかと思います。

あくまで「分割融資」を選ぶことが出来れば...
の話ですが。
銀行によっては「一括融資」しか
選択肢がないところもありますのでご注意ください。

vol.168simplenoteblog1.jpg


✔️一括融資の利点

では、続いて「利息」ではなく
「保証」という点に目を向けてみます。

住宅ローン金利の中には
「団体信用生命保険」と呼ばれる
生命保険料も含まれているのですが、
もちろん、利息だけの支払いが発生する
この融資にも保険がかかっています。

ゆえ、建築中に万が一のことが起こった場合、
「一括融資」だと借入金全額が
一括繰り上げ返済されるのに対し、
「分割融資」だと融資してもらっている
部分的な金額分しか繰り上げ返済がなされません。

仮に、土地の支払いが終わったと同時に
万が一のことが起こったとしたら
「一括融資」だとローンが0円になるのに対し、
分割融資だと土地取得のために払った費用
1000万円しか繰り上げ返済がなされないため
残った3000万円分は相続人が払っていかないといけなくなる
という感じですね。

このように保証に目を向けてみると
「一括融資」の方がいいかも?
となる方もいらっしゃるかと思います。
万が一とはいえ、
こんなわずかの期間で絶対に起こらない
とは言い切れませんからね。

vol.168simplenoteblog2.png

✔️で、結局どっちがいいのか?

という話になると思いますが、
「分割」と「一括」の両方を選べる銀行もあれば、
「分割」しか選べない銀行もあるし、
逆に「一括」しか選べない銀行もあります。

また、銀行によったら
元本据え置きの利息を払っている期間、
実行された融資額にも住宅ローンと同じ金利で
利息をつけてくれているところもあります。
(つまり、実質負担が0だということです)

なので、住宅ローンの話を聞きに行った時には、
金利や保証料の有無やパーセンテージ、
その他最初にかかる費用などに加えて
「分割融資」と「一括融資」についても
一緒に聞くようにしてくださいね。

そして、全条件をテーブルに並べ
それらを総合的に判断して
最も自分がしっくりくるローンを
選んでいただけたらと思います。

それでは、また次回。

vol.167 利息の無限ループの予防法

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「利息の無限ループの予防法」です。

----------
「家賃並みで家が買える」という謳い文句は、
家が欲しいと思っている方にとって
とっても魅力的なフレーズですが、
これをそのまま真に受けて家を建てていいのかと言うと、
もちろんそうではありません。

賃貸住宅だと固定資産税を払わなくいいけど、
家を持てば持ち続けている限り
ずっと払い続けなければいけなくなる。

賃貸住宅だと
家財道具にだけ保険をかけていればいいけど、
家を持てば家そのものにも火災保険をかけなくてはいけなくなる。
と同時に地震保険にも。(これは任意です)

賃貸住宅だと
建物そのものが老朽化しても自分で直す必要はないけど、
家を持てば老朽化の修正費用は全て自己負担となる。
そして、その修繕を怠ってしまうと
家の寿命を縮めることになるし暮らしの質も下がる。

賃貸住宅だと
面積が小さい上に家族の人数も少ないし
子供たちも小さいことから
光熱費(電気・ガス代)はそこまで高くないのに対し、
家を持てば面積が大きくなる上に
家族の人数が増える可能性が高いし、
子供たちが大きくなるに連れて光熱費も高くなりやすい。

といったことが想定されるからです。

こういった維持管理(ランニング)コストを
どう準備していくのかを考え、
その上で毎月の返済金額をはじき出して欲しいと思っています。

家電製品の買い替え費用もですね。
これは賃貸住宅に住んでようがマイホームに住んでいようが
いずれにしても必要となる費用なので
冒頭の説明では割愛していましたがこれも必要になりますね。

しかも、これらはなぜか支出が増えるタイミングで
見事に壊れるものです...。

vol.167simplenoteblog1.png

✔️準備を怠った結果

冒頭の謳い文句に飛びついて家を建てた方の多くが、
おそらくこれらの費用の捻出に
かなり苦戦しているのではないでしょうか。

例えば、
家電は10年前後で壊れるとよく言われますが、
実は家電が壊れるタイミングは
子供たちにかかるお金が急激に増えるタイミングと
ちょうど被ります。(塾代や進学費用です)

結果、ジリジリと貯金が減っていくし、
そんな中家電を買い換えるとなると、
数十万単位のお金が一気に吹っ飛んでいきます。

(例)
→エコキュートの買い替え:処分費も含めて約50万円
→便器交換:処分費も含めて約15〜30万円
→エアコン交換:(1台あたり)処分費も含めて約10〜20万円

通帳からこれだけのお金が
ジャブジャブなくなっていくとなると、
メンタル的にかなりしんどいですよね。

その上、建って10〜15年ほど経つと
コーキングが切れたりひび割れたり
外壁材の塗料が落ちてきたりするため、
この修繕にも着手しないといけなくなります。

そして、これらには
ざっと150万円ほどかかるのですが、
この状況に備えて修繕費を積み立てていない場合、
これを見送るかあるいはリフォームローンを組むかの
2択を強いられることになります。

見送るとなると
家はどんどん劣化していくことになるし、
リフォームローンを組むとなると、
既存の住宅ローンに上乗せして
さらにローンを払うという感じですね。

そんなわけで、
こんな状況に陥らないために
事前にこういった資金を
どう準備するのかを考えておいて欲しいと
思っている次第であります。

この他、老後に近づくと
キッチンやお風呂なども老朽化し
取り替えないといけなくなるのですが、
これまたリフォームローンを組むとなると、
エンドレスで割高な利息を払い続けることになるので、
甘くて楽観的なフレーズに騙されないよう
気をつけてくださいね!

それでは、また次回。