vol.57 平屋のススメ(お金編)

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「平屋のススメ(お金編)」です。

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シンプルノートの家では、
2階建てではなく平屋をオススメすることが多いです。
その理由の1つが「コスト面」です。
コストには家を建てる時にかかる「イニシャルコスト」と
家を持ち続けるためにかかる「ランニングコスト」の2つがあるのですが、
平屋は2階建てよりいずれのコストも抑えやすいからです。

というわけで今回は、
この2つのコストが抑えられる理由について
お伝えしていきたいと思います。

では、まずは一般的には間違いなく高くなると考えられている
イニシャルコストが安くなる理由についてから。

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【イニシャルコストが安くなる理由】

イニシャルコストには、
「土地代金」「建築代金」「外構代金」の3つがありますが、
普通に考えたらこの3つ全てが2階建てより高くなりそうな気がしますよね。

日当たりが良い平屋を建てるためには
広々とした土地にしなきゃダメな気がするし、
そもそも平屋は高そうだし、
土地が広くなった分、庭づくりにもお金がかかりそうですもんね。

しかし、実際は平屋を建てるにしても、
わざわざ土地を広げる必要はありません。
光の確保は間取りの工夫によって解決することが出来るからです。

また、建築代金に関しても、
2階建てよりも安くすることはそう難しいことではありません。
平屋には「階段」もいらないし、
全ての部屋と収納が1階に集結するため
たまにしか使わない部屋もいらなくなるし、
間取りのつくり方次第で廊下をなくすことも出来るし、
トイレだって1つだけでよくなるからです。

つまり、2階建てよりもずいぶんと面積を抑えることが出来るから
というわけですね。

外構工事代に関しても、土地を広げず、
かつ敷地に無駄な余白をつくらないように家を建てるように設計すれば、
工事面積をグンと抑えることが出来、コストを抑えることが出来ます。

そして、このように配置しつつ、
プランバシーと防犯とデザインに優れた外観の設計が出来れば、
これらをカバーするための工事が全て必要なくなるので、
さらに外構費用をカット出来るというわけですね。

そんなわけで、この3つの全てを駆使することによって
一般的に高いと思われている「平屋」を
2階建てよりも安く建てられるようにしているというわけですね。

【ランニングコストが安くなる理由】

ランニングコストには、
・電気代・固定資産税・メンテ費(外壁塗装)・改修費(水回り)・増築費(部屋) 
といったものがありますが、
この中で平屋にしておけば確実に抑えられるものが2つあります。

✔️電気代を抑える

環境問題への取り組みと電気料金の高騰のため、
今後は家を建てる時に
太陽光発電をつけないという選択をすることが出来なくなる
と考えた方がいいと思います。

そして、場合によったら
蓄電池の設置も視野に入れないといけないのですが、
そうなればより多くのパネルを設置することが出来る
平屋は2階だてに比べて圧倒的に優位になります。


✔️増築費をなくす

そしてもう1つ確実に抑えられるコストがこの増築費ではないでしょうか。
平屋は全ての部屋が1階にあるため、
部屋や収納が1階に足りないという状況が起こる可能性がほぼないからです。

仮に、将来足腰が悪くなり2階に上がるのが厳しくなったとして、
1階を増築するとなれば
それだけで300万円~500万円ぐらいかかることになるし、
実際、これを理由として増築せざるを得なくなり、
老後資金からその費用を捻出している方もいらっしゃるし、
それすらない場合は、住宅ローンに上乗せして
リフォームローンを組まざるを得なくなってしまうわけですからね。

この他、メンテコストにしても
2階建てより平屋の方が確実に抑えられるでしょうし、
固定資産税だって土地の買い方や家の建て方さえ間違えなければ
きっと抑えられると思います。

というわけで、
これから先の金銭的な負担を少しでも減らすためにも、
これまで以上に平屋を前向きに検討してみてはいかがでしょうか?

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vol.56 よく聞く失敗談

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「よく聞く失敗談」です。

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寝室と衣類クローゼットをどちらも2階につくったことで、
面倒な日々になってしまったというお話をしたいと思います。

まず、家に帰ってきて部屋着に着替えた後、
今日着ていた衣類を全て2階まで持って上がらないといけません。
これをしないとダイニングチェアなどにズボンが積み重ねられていってしまいます...

また、朝起きて1階に降りる時に
今日着る服を全て準備して持って降りてこないといけません。
そのタイミングで持って降りてこないと
身支度する時に再び2階に上がらないといけませんから。
忘れ物をした日には、何度も2階に上がらないといけないでしょう。

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✔️平屋にする

この上と下を行ったり来たり問題は、
2階さえつくらなければ一瞬で解決します。
なので、平屋が建てられる土地なら平屋を選択するのがいいでしょう。

想像してみてください。
寝室も子ども部屋も衣類クローゼットも
全てが居間と同じフロアにある暮らしを。
片付けるのも取りに行くのも便利だと思いませんか?

きっと子どもたちも
自分の部屋をふんだんに使ってくれることでしょう。
よちよち歩きの小さなうちから。

想像してみてください。
洗濯物を2階に干しに行くこともなければ、
洗濯物を2階に取り込みに行くこともなく、
洗濯物を片付けるために上下を行ったり来たりする必要がない暮らしを。
つまり家事動線なんて全く気にしなくていい暮らしを。

きっと、それだけで家事時間の短縮になるでしょうし、
子供から目を離すこともなくなるし、
なにより気持ちにゆとりが生まれることでしょう。

というわけで、平屋はとてもオススメなのですが、
土地の広さ的な問題で平屋が建てられない場合もあるので、
そんな場合は、



✔️衣類クローゼットだけでも1階につくる

ことをオススメしています。
部屋は2階にせざるを得ない場合でも、
衣類置き場だけでも1階につくっておけば、
楽になること間違いなしです。
上下移動は足腰が劣化しつつある中高年だけに限らず
若い世代の子たちでも面倒くさそうですしね。

というわけなので、
ほんのわずかな違いのようですが、
暮らしやすさに大きな違いをもたらすのでぜひ参考にしてください!

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vol.55 両端な平屋の考え方

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「両端な平屋の考え方」です。

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一般的には「平屋を建てたいなら土地は60坪以上最低でも必要だ!」
と言われていますが、
土地面積が大きくなればなるほど
土地価格は高くなるし外構代も高くなります。
そして固定資産税も高くなります。

かつ、平屋を建てるなら
正方形(真四角)ではなく長方形(横長)で建てるべきだと言われていますが、
家の形は縦横のバランスがいいほどコストが抑えられるため、
この建て方は逆に家のコストを押し上げてしまう要因となります。

そんなこんなで、自然と平屋は家代も土地代も外構代も高くなり、
いつしか金持ちの家的なイメージが出来てしまっているというわけですが、
今回は、この2つについての説明と、
これらとは正反対の考え方についてお伝えしていきたいと思います。

どっちが正しいとかどっちが間違っているかという話ではなく、
あくまで「選択肢はそれだけじゃないよ」というお話なので、
知識の幅を広げると思って読んでいただけたらと思います。

✔️土地が60坪以上必要な理由

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この図は、60坪の土地に2階建てを建てた場合と、
同じ面積の平屋を建てた場合こうなるよということを記した図なのですが、
ご覧いただければ一目瞭然。

2階建ての家は、南側の境界までの距離が6mもあるのに対し、
平屋の家はわずか1mしかないため、
確実に南向きの部屋に直射光が入ってきません。

ゆえ、平屋を建てる場合は、2階建ての家のように
南側の境界までの距離を充分にとらなければいけないのですが、
そうなれば点線で囲った分だけ
余分に土地を買わざるを得なくなってしまいます。
この図だと約30坪です。

これが平屋を建てる場合
「60坪では全然ダメ!80坪~100坪ぐらいないと話にならない!」
と言われている理由ですね。

赤のラインのところに
メインの採光を取る大きな窓をつくるのが前提となっているなら、
致し方のない話です。

✔️長方形(横長)じゃないとダメな理由

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このロジックも至って簡単。
図のAとBを見比べていただくと一目瞭然ですが、
正方形より長方形の方が南向きの部屋をより多くつくれますよね。

また、真四角の場合、
家の中心付近には光が届きにくいのに対し、
横長にすればどこの部屋にも満遍なく光が入ってきそうな気がするので、
その問題もあっさり解決出来るような感覚に陥ります。

実際のところは丸見え窓には全部カーテンが閉まっているので、
「明るいのか?」と言われると、
何とも言えません。

そして、もう1つ注目してもらいたいところが家の外周の長さです。
このAとBは、形は違えど面積は同じなのですが外周の長さが違います。
足し算をしていただくと分かりますが、
Aが48mなのに対しBは52mあります。

つまり、同じ面積でも
正方形より横長になった方が家のコストは上がってしまうわけなのですが、
これだって言われるまで案外誰も気付かないんですよね。

✔️正反対の平屋の考え方

では、ここからはこれまでの話と全て正反対の話をしていきます。
結論を先に述べると、土地は60坪以下で充分だし、
かといって家が暗くなるわけじゃなく、
むしろ比較にならないぐらい格段に明るくなるし、
土地代も家代も外構代も全て抑えられますよ、という話です。

まず、土地が60坪以下でいい理由は、
日当たりが悪い土地なら
日当たりが悪い土地なりの採光の取り方をするからです。

先程の図で言うと
南側の境界からわずか1mしか離れていない赤ラインの位置に
LDKを持ってくるのではなく
南側の境界から充分な距離を取った場所にLDKを配置するという感じですね。
そして、LDKの南側に中庭をつくり
たっぷりと直射光を確保するという感じでしょうかね。

そして、どうしても直射光が入らない場所には、
直射光が必要じゃない部屋を配置するという感じですね。
太陽が昇っている間は使わない寝室とか、
自然な明るさの方が心地いい子供部屋とか玄関とかですね。

これらの部屋には明るさは必要ですが、
かといってそれが直射光である必要はなく、
中庭からの間接光でもいいわけですからね。

そして、中庭があることによって採光が安定するため、
採光のために家の外周部に大きな窓をつくる必要がなくなります。
結果、間取りが分かりにくい家が出来上がります。
スッキリした美しいデザインの家が出来上がります。
家の外壁が塀代わりになる家が出来上がります。

つまり、防犯やデザインのために
外構に費用をかける必要が一切なくなるというわけですね。
これで、土地代と外構代をグンとカット出来ましたね。

では、最後は家代です。
家に関しては中庭をつくるとコストアップします。
外壁面積が中庭の分だけ余分に必要になるからです。

ゆえ、そのコストアップを相殺するために、
必要ないものを無くすとか、
あるいは必要なものでもサイズを見直すなどの工夫が必要となります。
廊下、階段、余分な部屋、などです。

これが出来れば、コストアップすることなく
誰でも中庭があるお家を手に入れることが出来ます。

というわけなので、一口に平屋と言っても、
これだけ両極なタイプが存在することも
頭の片隅に置いておいてもらえたらと思います。
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vol.54 リアルな現実と家づくり

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「リアルな現実と家づくり」です。

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「終身雇用なんて過去の話だし、
もはや年金であなたの老後を支えることも出来なくなりました。」

ざっと言うと、これが今の日本の流れであり、
これが意味することは
「私たちはどうやら75歳になっても、
いや80歳になっても普通に働いていないといけない。」
にもかかわらず昔のように
「同じ会社で勤め続けることは間違いなく出来ない。」ということです。

実際、大手企業では中高年を対象とした希望退職の流れが加速していて、
「45歳リストラ時代」と言われているし、
身近なところでもそれで退職した人が何人もいますしね。

要するに今は
「まー、そこから先は各々頑張って!」時代になったというわけですが、
家づくりだってもちろんこの流れを見越した上で計画を建てるべきですよね。

コロナショックを解決するためにたくさんバラまいたお金だって、
今後、増税によって回収していかないといけないし、
少子高齢化がもっともっと進めば社会保険料の負担はさらに上がるだろうし、
所得や手取りが上がらないのに物価だけがインフレになっているし、
インフレを抑えるために金利が上がる可能性も高いし、という状況ですしね。

そんなわけで、
もはやこれからの家づくりは、お金に対する考え方を変え、
その上で計画を立てていかないといけないというわけですね。

たとえ、あなたの周りの人たちが
そんなことお構いなしで家づくりをしているとしても、です。
また、たとえ住宅会社の営業から
予算をもっとあげないとダメだと言われたとしても、です。

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✔️住宅ローン4000万円時代!?

仕事柄、銀行の方と話をする機会が多いのですが、
その時よく耳にするのが
「4000万円ぐらい借りるのが当たり前になってきた」ということです。
しかも、このご時世なのでボーナスなしで、とのことです。

つまり、当たり前のように月11万円以上もの返済を
(固定金利ならもっと高くなります)
これからずっとやり続けていかないといけないということなのですが、
果たしてこれは、家計的に本当に大丈夫なのでしょうか。

例えば、ご主人の年収が500万円だとしたら
この方の毎月の平均手取りは約28万円となるのですが、
ここから先程のローン返済を差し引いた
残りの額だけで生活していけるでしょうか?

車を維持し、食費に雑費、携帯代に水道光熱費に塾代、
保険代に外食代に娯楽費、その他諸々を17万円でやりくり出来るでしょうか?
この他、家を持つとこれまで必要じゃなかった
税金や火災保険、家のメンテ費なども必要になるわけだし、
これに加えて、子供たちの進学資金だって
多少なりとも積み立てしていかないといけないわけですからね。

なかなか厳しい状況ですよね。
貯蓄や積立をする余裕どころか、
必要なお金さえも残らないかもしれませんよね。

つまり、この時点で奥さんも働き続けることが前提となってしまうのですが、
個人的に男性はここに頼り過ぎないようにすべきだと思っています。
奥さんは、働きたくても思ったように働けない状況に
いつ遭遇するか分からないからです。
出産や育児、介護といった要因によって。
自分だって、今の給料をキープ出来る保証なんてどこにもないわけですからね。

なので、家を建てるにあたっては、
勢いと直感に任せて楽観的に突き進まずに、
社会・経済の流れも勉強しつつ、将来のことまで考えた上で、
「これならいける!」という資金計画のもと進んでいただければと思います。

vol.53 全体を見る力(知識)をつける

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「全体を見る力(知識)をつける」です。

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家の価格を比較する時、
単純に家の見積書だけを横並びにしてしまうと、
一番価格が高い家を建てる可能性が高くなります。

オプションとして必要となるコストが入ってなかったり、
実は、外構代がべらぼうに高かったり、
電気代やメンテコストといった、
住んでから必要となるコストに大きな差が生じるかもしれないからです。

ゆえ、家の価格を比較する場合は、
オプションや外構も含めた上で一体いくらになるのかと、
住んでから必要となる維持費に今後どれだけのコストがかかりそうなのか
にまで目を向けながら考えなければいけません。

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例えば、延床面積30坪(100㎡)の平屋を建てる場合、
中庭がある家とない家では家の価格がけっこう違ってくるのですが、
これは同じ30坪でも工事面積が違ってくるからです。

真四角で家が建てられると仮定した時、
中庭がない家の場合、縦横ともに10mで建てられるため、
壁の全周が40mで済むのに対し、
中庭がある家の場合、仮に中庭を10㎡(=6帖)分つくるとしたら、
中庭を含めた総面積が110㎡となるため
壁の長さがその分増えるし、かつそれにプラスして
10㎡ある中庭部分の壁も工事しなければいけなくなるからです。

このような理由から、
中庭がある家はコストが割高になってしまうのですが、
他方、中庭がある家は割安になり、
中庭がない家が割高になるものも当然出てきます。

まずはカーテンにかかるコストです。
周囲の人からの視線を一切気にする必要がない中庭には、
基本的にカーテンが必要ないからです。

また、採光を中庭から確保することが出来れば、
外周部に大きな窓を設置する必要もなくなるため、
外周部に設置する窓にもカーテンをつける必要がなくなります。

他方、中庭がない家はカーテンなしでは家の中が丸見え過ぎて、
よほどの田舎でもない限り、
とてもじゃないけどリラックスして過ごすことが出来ません。
ゆえ、ほとんどの窓にカーテンという高額オプションが付いてきます。

シャッターにかかるコストも
中庭がある家とない家とでは大きく違ってきます。
中庭の大きな窓には直風が当たらないのに対し、
外周部の大きな窓には台風時などの強烈な直風がモロに当たるからです。

そんなわけで、中庭がある家とない家では、
単純に家の価格が100万円違ったとしても、
オプション費用でトントンになる可能性が高いのですが、
それ以上に大きな違いが生じるのが外構コストです。

中庭がある家には建築代の中にウッドデッキの工事代が含まれているのに対し、
中庭がない家にはウッドデッキ工事代が建築代に含まれていないし、
(外構工事として見積るからです)
防犯性とともにデザイン性が高い中庭がある家には
目隠しや防犯対策が必要ないと同時に、
家のデザインを引き立てるために庭を飾る必要もないのに対し、
中庭がない家は、目隠しや防犯対策とともに
庭を飾ることによって家のデザインの悪さを補充しなければいけないからです。

そして、おそらくこの外構費用に関しては、
少なくとも100万円ぐらい差が生まれるでしょうし、
場合によったら200万円以上差が生まれるかもしれません。

ウッドデッキをつくるとなればそれだけで50万円ぐらいはするし、
そのウッドデッキを使えるようにするために目隠しを設置するとなれば、
さらに50万円ほど余分に必要となるし、
見た目にこだわって塀を木目調でつくるとなれば、
50万円どころか100万円ぐらい高くなってしまうかもしれませんからね。

以上のような理由から、
価格を比較する時は単純に家だけに目を向けるのではなく、
それに付随する工事やコストにまで目を向けた方がいいというわけです。

というわけで、家を建てる時は
全体的なところまで目を向けるようにしてもらえたらと思います。

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vol.52 家づくりの現実

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「家づくりの現実」です。

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昔は1500万円~2000万円ぐらいが住宅ローンの相場だったけど、
この頃は4000万円ぐらい借りるのが当たり前になっていますね。
年収の5倍と言われていた融資の限度額も7倍以上貸すこともありますしね。

先日、とある銀行の方からこのようなお話をお聞きしたのですが、
確かに原材料費高騰によってどんどん値上がりする家の価格を考えると、
土地から買って家を建てる方は、
自己資金がなければそれぐらいの借り入れになってしまうのかもしれません。

しかし個人的には、たとえ共働き世帯だったとしても、
この予算設定は基本オススメ出来ません。
返済していくだけで精一杯の状態になる可能性がかなり高いからです。

例えば、4000万円のうち3000万円をベタ払いで、
1000万円を年2回のボーナス払いにし、
35年返済で1.4%の固定金利で銀行から借り入れしたとしましょう。

この場合、毎月の返済は90,392円となり、
年2回のボーナス返済は181,193円となるのですが、
仮に現在の家賃が70,000円だとしたら、
出費が今よりも20,000円も上がってしまうことになります。

また、賃貸では火災保険を家財にのみに掛けておけば良かったのですが、
家を持つと建物本体にも火災保険を掛けることになるし、
それにプラスして賃貸の時は必要なかった
固定資産税を毎年払わなければいけません。

さらに、家をいい状態で維持していくためには、
定期的に家のメンテナンスをした方がいいので
そのための費用もコツコツと積み立てていかないといけないし、
同時に、やがて老朽化し入れ替えが必要となる
水回りの工事費用も積み立てていくことをオススメしています。

そしてこれらを合計すると、
毎月約20,000円~25,000円ぐらいは必要となってくるのですが、
さて、現在暮らしよりも一気に40,000円~45,000円も
負担が上がるとしたらいかがですか?

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✔️ボーナスはずっとあるのか?

一番懸念するのは、
「ボーナスがずっとあるのか」というところです。
ボーナスというのは給料と違い業績に応じて支払われるものであるため、
今後35年間良い業績がずっと続くかどうかなんて
現時点では誰にも分かりませんからね。

そして、仮にボーナスがなくなるという事態が起こってしまった時は、
(業績悪化や転職といった要因によって)
年2回分のボーナス上積み分を毎月除けていかないといけなくなります。

となると、さらに毎月の負担が高くなり、
とてもじゃないけど家族で旅行に行く余裕なんて
全くなくなってしまうのではないでしょうか。


✔️贅沢な暮らしを諦める覚悟

これは銀行の方が話していたことで私も同感なのですが、
家にこれだけのお金がかかってしまうのであれば、
家以外のことを「ずいぶんと我慢して暮らす覚悟」が必要だと思います。
つまり、贅沢はしないということです。

例えば、外国車や高級車といったいわゆるいい車は絶対に買わないとか、
基本的には外食には行かないとか、
旅行に行くのは年1回にしてその旅行も泊まりでは行かないとか、
あるいは行き先を飛行機に乗らなくて良い場所にするとか、
時計やバイクのほか、お金がかかる趣味は全て諦める、といった感じですね。

理由は、子供たちを育てていくためには想像以上にお金がかかるから、
そして、今後は天引きが増えるため、
よほど給料が上がらない限りは確実に手取り金額が減っていくから、
でも、そんな中でも老後に向けて積立もしていかないといけないからです。

これから35年間、つまり住宅ローンに縛られている間、
ずっとそれでも我慢出来ると断言出来るのであれば、
家に全身全霊を捧げてもいいと思います。

しかし、それはちょっと嫌だなーとお考えだとしたら、
家づくりの予算をもっと現実的に考えるべきだし、
家づくりの予算を計画する前にこれから必要となるコストを知り、
その備えをしていくために現在の状況を見直すべきだと思っています。

なので「みんながそうしているから」という理由だけで、
同じような選択をするのは絶対にやめていただければと思います。
家を建てることが目的ではなく、
家は家族が幸せになるための一つの手段であることを忘れないでください。
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vol.51 図面の正しい見方 その2

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「図面の正しい見方 その2」です。

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家の間取りを考える時、
動線や広さばかりに気を取られがちになるのですが、
周囲の環境も同時に考えなければいけません。

というのも、
砂漠の真ん中にポツンと家を建てるわけじゃなく、
基本的に家に囲まれた環境の中で家を建てるからです。

つまり、家はその土地が持つ環境、
言い換えるなら近隣との兼ね合いを考えながら
間取りを考えるべきだということなのですが、
これを怠ってしまうと、
暮らし面や金銭面においてなんらかの支障が生じることになります。

例えば、南向きの土地では
出来るだけ全ての部屋を南向きでつくるのが一般的ですが、
ここで考えて欲しいのが、
その家で実際暮らした場合どんな風にして暮らしそうなのかです。

まず、リビングは
道を行き交う周囲の人たちから丸見えになってしまうため、
それを防御するためにカーテンが必需品となります。
結果、リビングはまだしも
奥の方に配置されるキッチンにはほとんど光が届かないため、
日中ずっと照明なしではいられないキッチンが出来上がってしまいます。

また、リビングから続くウッドデッキも、
道路を行き交う人たちから常に丸見えの状態となりますが、
さて、こんな場所で落ち着いてバーベキューが楽しめるでしょうか?
リクライニングチェアーに座ってひなたぼっこが出来るでしょうか?
子供たちはまだしも、自分たちも水着になってプールが出来るでしょうか?

このように南向きの土地に建つ家の多くは、
プライバシーが低くなってしまうのですが、
それと同時に防犯面も悪くなってしまいます。

1つ目の理由が、窓を見ただけで間取りがほぼ完璧に分かってしまうから。
そしてもう1つの理由が、夜、電気がついているかいないかで、
どこに誰がいるのかまで分かってしまうからです。

そんなわけで、
南向きの土地でこのような設計をしてしまった場合、
外構工事に想定外のコストをかけて、
これらを緩和するという方法を取らざるを得なくなります。
目隠し、植栽、塀を強固につくることによって。

それゆえ、計画した予算から大幅にはみ出ないようにするためにも、
また、より暮らしやすい住まいをつくるためにも
そもそも環境を配慮しながら間取りを考えるべきだ、
というわけなんですよね。

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✔️日当たりが悪い土地なのに?

そして、この南向きにリビングをつくるという当たり前は、
日当たりが悪い土地でも最悪の状況を引き起こします。
南向きに窓をつくっても前に建つ家によって光が遮断され
窓から充分な光が入ってこないからです。

さらに、この家は
前に建つ家の裏側を見ながら毎日過ごすことになるため、
違う意味でカーテンが必需品となります。
なんせ、勝手口やゴミや給湯器や室外機や汚れた壁を見ながら
過ごさないといけなくなりますからね。

それゆえ、どう考えても日当たりが悪い土地では、
前に建つ家に隣接した場所に
陽光を採り込みたいリビングなどを配置すべきではないんですよね。

なので、家の間取りを見る時は、
その周りの環境を想像しつつ実際その家の中に立ったつもりで、
周りから自分の家がどう見えるのかまで
俯瞰しながら見るようにしていただけたらと思います。

vol.50 図面の正しい見方 その1

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「図面の正しい見方 その1」です。

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プリントアウトされた図面を見るということは、
上から間取りを見下す形で見るということなのですが、
この状態で間取り図と睨めっこをしていると
家のコストが上がりやすくなります。

この視点から図面を眺めていると、
なんだか部屋や収納が狭いような気がしてくるし、
収納にいたっては数も足りないような気がしてくるからです。
つまり、それらの不安を解消するために
家の面積が大きくしがちになってしまうというわけですね。

収納にいたっては、
現時点での自分たちの持ち物を十分に把握出来ていないとなると、
なおのこと「これで大丈夫だろうか?」という不安に
頭の中が支配されてしまうことでしょう。

というわけで今回は
図面の正しい見方と言いますか、
「収納」の正しい見方についてお伝えしていきたいと思います。

「とにかく収納はたくさん欲しい」というのが
多くの人に共通した要望ですが、
収納を増やしたとてそれだけで収納力が上がるわけじゃなく、
その一方でコストだけは順調に上がってしまうので、
そんな無駄なことを防止するためにも
ぜひプランへと進む前に知っておいて下さい。

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✔️床の広さは重要ではない

収納は「床」の広さだけで分量が決まるわけではなく、
「壁」の広さによっても分量に大きな違いが生じます。

例えば、幅と奥行きがどちらも91cmの収納と
幅が2倍で奥行きが半分の182cm×45.5cmの収納は
床の広さは全く同じですが、そこに置ける分量は
棚の枚数が同じ場合、単純に2倍違います。

もちろん、奥行きが深い収納も
前後2列に陳列すれば2倍の収納力にはなるのですが、
ここで問題になってくるのが、
前後2列に並べて荷物を置かないといけない収納は
使いやすいのかということです。

奥の荷物を取り出すために
わざわざ手前の荷物を一旦退けないといけないし、
この置き方をしていると、
奥に何を置いているのか分からなくなりやすいでしょう。

そんなわけで、収納は管理しやすくつくるというのが鉄則であり、
そのためには奥行きよりも棚の長さに重点を置いて考えるべきなのですが、
コストを無駄に上げることなくそれを実現する最良の方法が、
「壁」の数を最大化するということなんですよね。

なので、図面を見る時は収納が一体どれだけの広さなのかではなく、
一体どれだけの壁があるのかに着眼していただけたらと思います。

✔️回遊動線のメリットとデメリット

また、収納の分量が気になる方がやらない方がいいのが回遊動線です。
いわゆるグルグルと家の中が回れる動線のことですね。
理由は、収納を通り抜けるようにすれば収納の中に通路が出来てしまい、
その分収納のための壁がなくなってしまうからです。

結果、通り抜け出来ない場合の半分以下の収納力になってしまう上
ドアの数が1枚増え、かつスイッチの数も1つ増えることから
コストも上がってしまうことになります。

なので、インスタや見学会などで回遊動線や通り抜け動線を見て、
その利便性の良さに憧れを抱くかもしれませんが、
「陽」の部分だけじゃなくその裏に隠れた「陰」の部分にも
目を向けられるようにしておいてもらえたらと思います。

この見方が出来るようになれば、
収納に対する不安を解消するために
無駄に収納を広げる必要がないことが分かるし、
他の部分にも応用すれば、
無駄なコストをガンガン削ることが出来るようになるので、
ぜひ覚えておいて下さいね。