vol.139 設計の大原則

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「設計の大原則」です。

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一般的に、家の間取りは
建てる人の要望によって全てが決まると考えられていますが、
どれだけ多くの情報をお客様から引き出せたとしても、
それだけで住みやすい家をつくることは出来ません。

理由は要望を引き出せば引き出すほど
その要望を叶えることだけに必死にならざるを得なくなり、
その土地に合わせた間取りをつくりづらくなってしまうから。

つまり本当に住みやすい家をつくるためには、
本来周辺環境の状況を加味した上で
(周りの家との兼ね合いを考えながら)要望をお聞きし、
その要望の1つ1つがその土地にマッチしているかを
確認しながら間取りをつくるべきなのに、
要望を聞き過ぎてしまうと、
要望を実現するだけでいっぱいいっぱいになり
そこまで考えられなくなってしまうというわけですね。

要望を聞き過ぎると予算が跳ね上がりやすく、
予算とのバランスが取りにくくなる
という困った悩みも発生しますしね。
要望には「プラス」の要素はあれど
「マイナス」の要素は基本ありませんから...

というわけで今回は
住みやすい家を予算を抑えながら建てる方法について
お伝えしていきたいと思います。

ヒアリングでお客様から
要望を引き出し過ぎてしまって
図面と予算の収集がつかなくなっているという事態に加え、
家づくりにはなんとなく受け入れてしまっている
「固定概念」というものがたくさんあり、
それがさらにいい間取りづくりの邪魔をするので、
その固定概念を打破すべく
正しい設計の知識をつけていただければと思います。

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✔️間取りは土地に合わせて考える

間取りを考える上で
最も大事な要素であると言っても
過言ではないことがこれです。

例えば、
日当たりが良い南向きの土地に家を建てるとしたら、
南向きに部屋をつくり南向きに大きな窓をつくるのが
設計では当たり前とされていることですが、
間取りを見る際に気を付けなければいけないことが
「周りから自分の家がどのように見えるのか?」
ということです。

南向きの土地ということは、
南に道路があるということであり、
それは中から外の様子がよく見えるということであり、
道行く人や車からも家の中の様子がよく見えるということ
でもありますからね。
リビングからの続きでつくったウッドデッキも然りですね。

これが想像出来ていないと、
間違いなく思っていたものとは
違う家が仕上がってしまいます。

レースカーテンだけでは
あまりに丸見えが気になるとしたら、
遮光カーテンまで閉めることになり、
家の中に光が入ってこなくなるし、
以降ずっとカーテンが開けられない。
丸見えなのが気恥ずかしくてウッドデッキを全く使わない...

「言われてみると確かに」と
思っていただけたかもしれませんが、
実際にそんな家に住んだことがなければ
こんなこと想像もつかなかったのではないでしょうか。

大人気の「南向きの土地」にも
こんな想定外のデメリットがあるなんて
思ってもみないですよね。

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✔️土地にマッチしない固定概念

また「部屋は南向きでつくるべきだ」
という代表的な固定概念は
南向きの土地に限らず、
その他の土地でも設計士の頭を悩ます
困った要望となります。

日当たりが悪そうな土地で
1階の一番南にリビングを配置すれば、
冬場ほとんど光が入ってこないため
「暗い」「寒い」という家になりやすいからです。

別の場所で採光を確保しようにも、
大きな窓をつくればつくるほど隣との距離が近いと
カーテンを開けることが出来なくなりますしね。

南にリビングを配置したことによって
水回りが北に配置されることになれば、
脱衣室が寒くジメジメしやすくなるし、
室内干しで洗濯物を干しても
なかなか乾かないでしょう。

そんなわけで家づくりをする時は、
なんとなく当たり前だと受け入れてしまっている
固定概念というものを
あらかじめ打破していただくことが
初めの一歩だと考えている次第です。

固定概念がなくなれば、
劇的に色んなことが柔軟に考えられるようになりますよ。

それでは、また次回。


vol.138 ローコスト住宅が結果的に割高になる理由

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「ローコスト住宅が結果的に割高になる理由」です。

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資材価格の高騰によって
コロナ前に比べてずいぶんと
建築費が上がってしまったのですが、
それに加えて住宅性能の更なる強化や太陽光発電の設置、
さらにインスタグラムの影響による
商品のグレードアップなどによって
銀行からの借入額がどんどん増えていっているのが現実です。

もちろん、住宅性能の強化と太陽光発電の設置は、
長期的に見ると上がった建築費を打ち消すどころか
お釣りが帰ってくるぐらい
電気料金というランニングコストを削減してくれるのですが、
とはいえ、目先だけで考えると返済負担は増えてしまうので
少しでも家づくりにかかるイニシャルコスト(初期費用)を
抑えるための工夫をしなければいけません。

ゆえ、今回は家づくりにかかる
コストを落とすための方法について
お伝えしていきたいと思います。

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これを実現するためには、
建築費を削減するだけでは難しく
土地と外構(庭の工事)にかかる
コストをも削減する必要があるのですが、
ここで難しいのがローコスト住宅の考え方に寄ってしまうと
建築費は幾分抑えられるものの、
その分土地や外構に莫大なコストが必要となり
総額で考えるとかえって
高い買い物をする結果になってしまうということです。


✔️ローコスト住宅の盲点

ローコスト住宅とは、
家のコストを最小限にするために
施工面積が抑えられるような
間取りの工夫をしているお家です。

家を真四角にするとか、
総二階建てにするとか(1階と2階の面積が同じ家)、
凸凹にならないよう間取りをつくるといった工夫ですね。
この結果、確かに家のコストは
大なり小なり抑えることが出来ます。

しかし、こういった要素を
取り入れたお家に共通していることが、
「家の外周面だけにしか窓がつけられない」
ということなのですが、
これが土地や外構にかかるコストを
大幅に跳ね上げてしまう原因となります。

土地代が高くなる理由は、
基本、日当たりがいい土地じゃないと
家の中が真っ暗になってしまうため、
価格が最も割高に設定されている南向きの土地を
買わないといけなくなるか、
あるいは南向き以外の土地である場合、
隣家との間に充分なスペースを確保しないといけないので
その分、余分に土地を買わないといけなくなるからです。

そしてこの結果、外構工事までも高くなってしまいます。
南向きの土地に南向きに大きな窓をつくってしまうと、
外から家の中が丸見えになるため、
目隠しや塀や植栽によって防がないといけなくなるからです。

また、丸見えの位置につくったウッドデッキを
有効活用出来るようにするためには、
ウッドデッキにまでも目隠しを
設置しないといけなくなるからです。

その上、家の窓には
目隠しのためのカーテンが必要になるし、
防犯のことや、台風の時に備えてシャッターも必要になるので、
相当なオプション追加工事がかかってしまいますしね。

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つまり、南向きの土地は
土地代が割高になるだけじゃなく、
同時に外構工事代も割高になり、
かつ、割安に抑えられたはずの
建築代までも結果的に割高になる。
結果、家づくりのコストが
最も上がってしまうというわけです。

これが案外知られていない家づくりの盲点なのですが、
みんなそろって日当たりがいい
南向きの土地を探そうとする結果、
南向きの土地に人気が集中し
なかなか土地が見つからなくなるし、
見つかったとしても値引きなんてしてもらえないし、
すぐに売れてしまうことから即決を迫られることになり、
家づくりのペースが乱されてしまうという
更なるデメリットを引き起こしかねません。

そんなわけで、
こういった悪い循環から抜け出していただくために
正しい間取りのつくり方について
知っていただきたいと思っている次第です。

というわけで次回は設計の考え方について
詳しくお伝えしていきたいと思います。
それでは、また次回。

vol.137 電気料金の嘘と真実

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「電気料金の嘘と真実」です。

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2022年の10月をもって
様々な電力会社が燃料調整費の上限を撤廃したことにより、
11月からオール電化住宅の電気料金が
大きく跳ね上がりました。

これを受けてこれまで無頓着だった電気料金を
意識するようになった方も多いのではないかと思いますが、
電気料金は今後もさらに高くなっていくと噂されているため、
これから家を建てる方は、
値上がり傾向である電気料金を
抑える対策をしなければいけません。

いつか終わりがある住宅ローンとは違って
電気料金は生きている限り
ずっとかかり続ける費用ですからね。

どれだけ住宅ローンの利息を抑えることが出来たとしても、
電気料金に対する知識が乏しいままでは
抑えた利息を上回る出費を強いられかねませんしね。

というわけで今回は
電気料金についてお伝えしていきたいと思います。

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✔️「高断熱高気密」だけでは解決策にはならない

まず理解しておいていただきたいことが、
家の断熱や気密を強化することは
「快適な暮らし」には大きく寄与するものの、
新築の家同士で比較する場合
電気料金の節約にはそれほど関係ないということです。

国が発表しているデータによると、
家庭の消費電力の割合の中で
冷暖房が締める割合はわずか28%しかないからです。
割合としては給湯器と同じ比率です。

1年中休みなく使用する給湯器に対し、
冷暖房は使用する期間が1年のうち半分ぐらいなので、
そう考えると信憑性の高い数字ではないでしょうか。

仮に毎月の平均電気代が
毎月15,000円だとしたら、
冷暖房が締める費用は
月平均4,200円ぐらいだということですね。

そして、たとえ超高性能住宅にしたとしても
冬の暖房の使用をなくすことは不可能なので、
ずいぶんとお金をかけて高性能化したとしても
節約出来る電気代は
せいぜい20%〜30%ぐらいのものではないでしょうか。

つまり、毎月平均1000円前後ぐらいが
高断熱高気密化によって
節約出来る電気料金だということですね。

今後50年生きるとしたら、
節約出来る合計金額が約60万円なので、
性能アップによって高くなるコストが
それ以下ならコストを上げることなく
より快適な住まいを手に入れることが出来るので
そうした方がいいという感じですね。

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✔️電気料金を抑える手段

家の性能を強化すれば、
多少の電気料金の節約をしつつ
より快適な暮らしを手に入れることが出来ますが、
とはいえ、そうしたからと言って
給湯器や冷蔵庫、そして照明器具や
その他全ての家電製品の電気料金を
節約出来るわけではありません。

ゆえ、電気料金の解決策として
「太陽光発電の設置」があります。
太陽光発電を設置すれば、
発電している間は電力会社から
電気を買わなくてよくなるからです。

電気そのものの買う量が減れば、
燃料調整費や再エネ賦課金といった
使った電気料金に付加してかかる
余分な費用を削減出来ますからね。

かつ、夜の使用電力量によっては
「蓄電池」の設置も検討してもいいでしょう。
蓄電池を設置すれば、
昼間の使いきれなかった電気を
貯めておくことが出来るため、
発電しない夜も電力会社から
電気を買う必要がなくなるからです。

つまり、発電は天候にも左右されるため
完全というわけにはいきませんが、
基本的に電気は「自給自足」するといいということですね。

現在の電気料金は基本料金が高く
それが、電気料金が落ちにくい原因なのですが、
昼も夜も電気を買わずによくなることによって、
電力会社の料金プランを使った分だけ
請求が来るプランに変更出来、
これが更なる電気料金の節約につながります。

それでは、また次回。