vol.200 全改装と建替え

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「全改装と建替え」です。

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建築費が高騰した今、
実家が所有する土地に建てるという選択肢が
ずいぶんと現実的なものになってきたかと思いますが、
その選択肢の中で使っていない木造の古い家がある場合、
それを全改修した方がいいのか
あるいは建て替えた方がいいのか
という疑問を誰もが感じられると思います。

もちろん、その答えは一概にこうだと言えるほど
簡単な問題ではないのですが、
いずれにするかを判断する上で
最も大切だといっても過言ではない
「金額面」のことについて
今回はお伝えしていきたいと思います。

まず、木造住宅の全改修と建て替えとで
大きな違いが出ることが、
「地盤調査を行うか否か」です。

「建て替え=新築」の場合、
瑕疵担保履行法の定めにより
必ず家が建つ位置で地盤調査を
行わなければいけないのに対し、
全改修の場合、基礎を残す形になるので
調査を行うことが出来ないからです。

新築の場合は、
地盤改良工事費用が別途でかかる可能性があるのに対し、
全改修の場合は調査そのものが出来ないため、
これが発生する可能性がありません。

続いて「解体費」ですが、
これに関しては、全て壊すよりも
基礎や主要な構造部(土台・柱・梁)を
残しつつ耐震や断熱の補強を行なっていく全改修の方が、
処分するものの量が少ないため、
その分は安くなりそうなものの、
一気に解体していける建て替えに比べ、
全改修は主要なものを残しながら解体しないといけないため、
その分、職人さんの手間がかかることから
手間代を相殺すると案外そう変わらないかもしれません。

建築費に関しては、
材木にかかる費用が新築に比べて抑えられることから
その分、安く収まると思いますが、
同じように残す基礎に関しては、
古い家である場合、
立ち上がりしか基礎がないため(布基礎であるため)、
耐震強度を高めると同時に、
地中から上がってくる水蒸気を防ぐために
新築の家同様にベース部分にも
鉄筋を入れつつコンクリートを打たないといけないのと、
そのために家の下にある余分な土を処分しないといけないこと、
かつ、間取り変更の場合などは
新たに柱が立ち、壁が出来る所に追加で基礎をつくること、
以上の工事が必要となるので、
実質新築と同等に費用がかかると
思っていただいて良いぐらいではないかと思います。

以上が新築と全改修を比べた場合の
金額的な差異となるのですが、
結論を申し上げると、
新築の場合とそう大きな差異が生じないのかもしれません。

よほどその建物に思い入れがない限りは、
間取りを大きく変えたいとお考えの方や
不安な耐震の強化や不快な断熱の強化を図りたいとお考えの方は、
建て替えという選択肢の方がいいんじゃないかと思っている次第です。

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✔️怖いのは地盤の傾き

そして、古い家を使う際に
注意して見ておきたいことが
軟弱地盤による建物の傾きです。

地盤調査を行い、
必要な場合改良工事を行う上、
立ち上がりだけじゃなく
ベースにまでコンクリートを打つ
現在のベタ基礎の場合、
軟弱地盤によって建物が傾くことはほぼありませんが、
立ち上がりしか基礎がない昔の建物は
軟弱地盤の影響をモロに受け、
建物が傾いている可能性がかなり高いからです。

そして、傾きが酷い場合、
基礎に大きな亀裂が入り、
かつ亀裂に前後のズレが生じていたりします。

もちろん、こんな場合は
その基礎は到底使えるものではないため
確実に建て替えした方がいいんですけどね。

というわけなので、
実家にある古い家の全改修か
建て替えかを悩んでいる方は、
まず家に傾きがないかを調べていただき、
傾いているなと感じた場合、
基礎に大きなクラックとズレがないかを
見てみていただければと思います。

その上で、使えそうなら全改修と建て替えを
両輪で検討していただくといいかと思います。

それでは、また次回。

※固定資産税に関しては、
全改修をした場合、どれくらい評価が見直されるか分からないので
ここでは割愛させていただきました。


vol.199 南向きの窓は必要なのか?

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「南向きの窓は必要なのか?」です。

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部屋と窓を南向きでつくることは
家づくりの大前提の一つですが、
この当たり前が正解かどうかの答えは
家を建てる土地によって違ってきます。

例えば、住宅が建ち並ぶ密集地で
この前提のもと家を建てるとなると、
日当たりが良い南向きの土地であれば、
そこから日が差し込んでくるものの
同時に視線まで差し込んでくることから、
結局窓をカーテンで閉じてしまうことになるし、
南向き以外の日当たりが悪い土地であれば
十分な光がそこから入ってこない
という悲惨な状況を招きかねません。

そんなわけでSIMPLENOTEの家は、
その大前提に縛られることなく、
その土地ごとに最適な光の採り入れ方を
ご提案させていただくようにしています。

そして、基本カーテンいらずの
明るく開放的な住まいを
実現させていただいています。

では今回は、
「部屋も窓も南向きにしないといけない」
という強迫観念に縛られないようにしていただくために
家を建てる前に知っておいた方がいい事実について
お伝えしていきたいと思います。

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✔️間違った固定概念

まずお伝えしたいことが部屋の向きについてです。
一般的には部屋を南向きでつくり水回りを南以外でつくる
というのが世間の常識となっていますが、
そもそも寝室や子供部屋を南向きでつくる必要はありません。

寝室は、文字通り寝るだけの部屋であるため
太陽が沈んでいる時間帯に使う部屋だし、
子供部屋に至っても
子供たちは昼間学校に行っているし、
かつ帰ってきても寝る寸前までリビングで過ごすため、
これまた寝る時しか使わないからです。

また、受験生となり自分の部屋で勉強するとなっても、
朝から夕方までずっと光が差し込んでくる南向きの土地では
直射光が邪魔で勉強に集中出来ないでしょうしね。
(仕事場でも日光が当たりすぎる場所では
デスクワークがやりにくいですよね?)

他方、一般的に水回りは北に配置されがちですが、
これも水回りスペースこそ
日当たりや風通しを考慮した上で
つくるべきではないかと考えています。

脱衣室で室内干しするとなれば
風通しがいい方がよく乾くし、
少しでも日光を当ててあげた方が除菌効果もあり、
洗濯物の生乾きの臭いが発生しにくいからです。
水を使うスペースは
日が当たった方がジメジメ感も解消出来るでしょう。

そんなわけで、
土地に合わせたいい間取りを一緒につくりあげていくために、
まずはこういった当たり前を
頭の中から取り除いていただきたいと考えています。


✔️光は直射光だけじゃない

そして、もう1つ知っておいていただきたいことが、
光の種類は「直射光」だけじゃないということです。

オフィスや店舗などは
北向きの方がいいと言われていますが、
これは北からの光は「天空光」と呼ばれる
空気中の塵や水蒸気に反射して拡散されていく光で、
天候に関係なく安定した光を届けてくれるのは
この光だからです。

ゆえ、室内に安定した光を届けるためには
「直射光」だけに頼らず
「天空光」を上手く使うことが不可欠であることも
覚えておいていただければと思います。

これらを知っていれば、
過度な「南向き信者」になることもないし、
土地に合わせた部屋の配置や
窓のつくり方が出来るようになります。
そして、基本カーテンがいらない
明るく開放的な住まいをつくることが出来るようになります。

そんな家を建てることが出来れば
さらに「質」の高い暮らしを
していただけるのではないでしょうか。

それでは、また次回。

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vol.198 マイホームの価値

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「マイホームの価値」です。

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賃貸で暮らされている方は、
「賃貸とマイホームでは
ぶっちゃけ一体どっちがいいのか?」
という疑問をお持ちだと思いますが、
単純に金銭的な比較だけで申し上げると
賃貸の方が生活は楽かもしれません。

建築費だけじゃなく
造成費や外構費も値上がりした現在は、
マイホームを持つとなると
4000万円前後の総予算となり、
そうなれば40年返済で借りた場合
10〜11万円もの返済金額となり、
(ボーナスなしのベタ払いの場合です)
賃貸で払っている費用より負担が増えるかもしれません。

かつ、マイホームを持てば
固定資産税も必要となるし、
火災保険の支払い負担も増えるし、
やがて訪れるメンテナンスのための
積み立てもしていった方がいいですしね。

そんなわけで、
単純に出ていくお金のことだけで比較してみると
「賃貸でいる方がいい」ということになるのですが、
当社としてはマイホームは
負担を上げてでも持つだけの価値があると思っているので、
今回はその価値についてお伝えしていきたいと思います。

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まずお伝えしたいことが、
マイホームでの暮らしと賃貸での暮らしでは
「質」が全く違うということです。

例えば、音の問題。
賃貸では常に隣、上下階の住人に対して
常に音の配慮をしなければいけないのに対し、
マイホームを持てば、その心配をする必要がありません。

また、比較的新しい賃貸では
これはないかもしれませんが、
古い賃貸の場合
結露に悩まされている方がいらっしゃると思います。
そしてマイホームを持てばこの問題も一気に解決します。

さらに、音問題ほどではないにせよ
子供たちを外で遊ばせたいと思っても、
駐車場と庭を兼ねて作っている賃貸では
そう気軽に出来ないという悩みもあるのではないでしょうか。

これに関してもマイホームを持てば
プライベートな庭が出来るので、
子供たちものびのび遊ぶことが出来るようになりますよね。

この他、収納が少ないことによって
家が片付かないという悩みがあったり、
部屋が潰れてしまうという賃貸ならでは、
の悩みを抱えている方も決して少なくないと思いますが、
思い通りに間取りをつくることが出来るマイホームでは、
その悩みもきっと一瞬で解決するでしょう。

このように暮らしの「質」が爆上がりするのが
マイホームの最大の利点なのですが、
これ以外にも一戸建てのマイホームしかやることが出来ない
大きな大きな価値があります。

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✔️電気料金を軽減する手段

それは、
太陽光発電が設置出来る唯一の手段が
一戸建てのマイホームだということです。
賃貸はもちろん、マイホームを持つにしても
分譲マンションではつけたくてもつけられませんからね。

かつ、賃貸や分譲マンションは
太陽光発電だけじゃなく蓄電池もつけられないし、
電気自動車の充電コンセントもつけられません。

原発はおろか、
火力発電まで制限されていっているため、
今後はますます電気料金が値上がりする可能性が高く、
そうなれば住宅ローンの返済負担増なんて
比べ物にならないぐらい家計を圧迫する要因となるのが
この電気料金です。

そんなわけで、
今後考えられる脱炭素社会の皺寄せを
モロにくらわないためにも
太陽光発電の設置が出来る一戸建てのマイホームを
オススメしています。

電気料金は住宅ローンと違って
支払いが終わることがないし、
実際の屋根に合わせて試算してみると
太陽光発電をつけたがどうかで
ローン返済期間中だけでも
600〜700万円ぐらい出費に差が出ます。

いかがでしたか?

この他、住宅ローンを組めば
必然的にもしものことがあった場合、
ローンの残債がゼロになる
生命保険にも加入することになります。

これを機に生命保険を見直していただければ
その分は家計負担も楽になると思うので、
この点も考慮していただくといいかと思います。

以上、マイホームを持つかどうか悩んでいる方は
ぜひ参考にしてみてください!

それでは、また次回。

vol.197 農地に家を建てる場合の注意点

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「農地に家を建てる場合の注意点」です。

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コロナ前に比べて建築費が
30%以上値上がりした上、
まだ値上げが続く建築資材のことを考えると、
実家に使える土地がある方は、
それを活用するという選択肢も
現実的になってきているのではないでしょうか。

土地を買わなくていいとなれば、
現在の土地価格からすると1000万円前後、
家づくりのコストを抑えることが出来ますからね。

とはいえ、それは
そのまま土地が使える場合だけに限られ、
実際のところは、古い家が建っていて
それを取り壊してそこに家を建てるとか、
農地の一部を造成してそこに家を建てる
のいずれかであることが多く、
そうなれば、その状況に応じて
それなりに費用が必要になってきます。

というわけで今回は、
後者である農地を造成して家を建てる場合について
詳しくお伝えしていきたいと思います。

農地ならでは、の注意点をお伝えした後に
費用面について言及していくので、
農地を活用しようかとお考えの方は
最後までお付き合いください。

✔️まずは地域を把握する

農地を活用するにあたり
まず調べていただきたいことが、
そこが「市街化調整区域」なのかどうかです。

市街化調整区域という地域だけは、
農業を推進する地域なので、
農地を宅地に変えるのがとっても難しいからです。
ゆえに、まずはここを親御さんからお聞きするか
あるいは市役所に行って確認いただければと思います。

そして、その調査時に
同時に調べていただきたいことが、
その地域が「農業振興地域」に
含まれていないかどうかということです。

この地域に含まれていると
農地転用(農地を宅地に変える申請)をする前に、
この地域から外してもらう申請をしないといけない上、
その申請は年に2回しかなく、
しかも申請が受理されるまで半年もかかります。
農地転用は毎月か2ヶ月に1回はあり、
しかも1ヶ月か2ヶ月で受理されるのに対し...

要するにすぐに建てたいと思っても、
この地域だった場合、
造成工事をするまでに最短でも8ヶ月、
時期によったら1年以上かかってしまうことになってしまうかもしれないので
農地を利用するという選択肢が
少なからずあるのであれば、
事前に調べておいていただくことを
オススメしています。

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✔️宅地にするのにどれくらいかかるのか?

では、続いて費用面について
お伝えしていきますね。

まず農地転用の申請をするのに
行政書士さん・土地家屋調査士さんに
支払う費用が必要となるのですが、
(測量・分筆して申請を出すからです)
測量が絡んでくるとなると
50万円ぐらいは計上しておいた方がいいと思います。

続いて必要となるのが、
水道の引込工事と水道加入金の支払いです。
農地は前の道から水道を引き込んでいないからです。
ゆえ、これにも合計50万円ぐらいは
計上しておいた方がいいかと思うし、
前の道に水道がない場合は、
もっと遠いところから水道を引いてこないといけないのですが、
そうなれば100万円単位で
追加工事が必要になる可能性があるので、
これに関しても市役所であらかじめ
調査しておいた方がいいと思います。

続いて、本題の造成費用ですね。
造成に関しては、
境界につくる擁壁基礎工事費用、
表面の土を取り除いて処分する費用、
そして新たに土を入れる費用、
この3つが必要となるのですが、
ざっとこの3つを合計すると
少なくとも造成する坪数×3万円は、
基礎の深さや土の処分料によっては
坪数×4万円近く必要となってくる
とお考えいただいた方がいいかと思います。

造成する面積が60坪だとしたら
180〜240万円、
造成する面積が80坪だとしたら
240万円〜320万円、
必要となってくるという感じですね。
これらの合計が、
農地に家を建てる場合に必要となってくる費用です。

というわけなので、
これから家を建てるにあたり
実家の田んぼや畑を使わせてもらおうかなとお考えの方は、
この記事を参考にしていただけばと思います

この他、排水問題などもありますが、
細かいことは案件ごとに
アドバイスさせていただきますので、
いつでもご相談いただければと思います。

それでは、また次回。

vol.196 平屋にするとコストが下がる理由

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「平屋にするとコストが下がる理由」です。

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2階建てに比べて平屋は
家そのもののコストが
割高なイメージがありますが、

・階段がいらないこと。
・廊下を減らすことが出来ること。
・全ての部屋と収納が同じフロアにあることから部屋を減らすことが出来ること。

この3つの理由から
2階建てに比べて面積が
大なり小なりカット出来るため、
結果的に2階建てよりも
安く建てることが出来たりします。

そして、高性能化が進む現在においては
以下の2つの理由により
ほぼ確実に安く建てられる
と言っても過言ではないのではないでしょうか。

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まず、1つ目の理由が
「制震ダンパ」が2階建てでは基本必要なのに対し、
平屋にすれば必要じゃなくなるからです。

細かく部屋を仕切る2階に比べて
広々としたLDKをつくる1階は
壁が圧倒的に少なくなる上、
基本全ての部屋を
南向きでつくろうとすることから
南と北の壁量バランスが悪くなる傾向がある2階建てのお家は、
地震の時はもちろん
日常的な重量車両の通行による揺れや
強風時の揺れなどの影響も受けやすく、
耐震等級3の取得だけでは心許ないのに対し、
平屋は上からの荷重が小さく
地震の時はもちろん
日常的な重量車両の通行による揺れや
強風時の揺れなどの影響を受けにくいからです。

耐震等級3を取得する場合でも
2階建てのように、
柱や壁の位置に制限をそう受けることもありません。

もっとも
より安心感を得たいという方は、
平屋の場合でも「制震ダンパ」を
設置していただいてもいいわけですが、
これだって50万円前後もコストがかかる
列記としたオプション工事です。

そして2つ目の理由が
仰々しい「空調設備」を
設置する必要がなくなるからです。

どれだけ断熱性能を高めても
上下階の温度差は生まれることから
2階建ての家で快適に暮らすためには、
空気を循環させるための仕掛けが必要となるのに対し、
平屋の場合、無駄な廊下さえ量産しなければ
リビングの空調設備さえ動かしていれば
基本、家全体に空気が行き届くからです。

今後は、住宅ローン控除の兼ね合いから
ZEH基準以上で建てることが基本となりますが、
そうなれば、これまで以上に
外気の影響も受けにくくなるし、
壁に比べて断熱が弱い窓ガラスからも
熱が逃げていきにくくなりますし。

ZEH基準となると
太陽光発電も標準搭載になるため、
太陽が出ている間は
電気料金を気にすることなく
空調設備をつけておくことが出来、
結果、家の中をより快適に保ちやすくなります。

要は平屋にすればそれだけで
自然と「耐震」や「断熱」を高めることが出来、
それらにお金をかける必要がなくなるというわけなので、
これから家を建てようとお考えの方は
前向きに平屋をご検討いただけたらと思います。

とはいえ、平屋はつくり方を間違えると
コスト的にも暮らし的にも
最悪の事態を引き起こしかねないので、
その点には十分注意してくださいね。

それでは、また次回。

vol.195 2種類の平屋

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「2種類の平屋」です。

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現在、人気急騰中の平屋ですが、
どんな平屋にするかによって
家づくり全体にかかるコストが大きく違ってきます。

そして、その建て方の違いは
コストに違いを生じさせるだけじゃなく、
「暮らしの質」にも大なり小なり
影響を及ぼすことになります。

例えば、「中庭」がない平屋は
採光を外周部から確保する必要があるため、
外周部にはそれなりの大きさの
窓をつくることになりますが、
そうなると、その窓からは
採光とともに視線までも入ってくるため、
基本、ずっとカーテンが
開けられない状態になってしまいます。

そして、家の中が暗くなり
朝から照明なしでは暮らせなくなるし、
外の景色を見ることも出来なくなります。

他方、「中庭」をつくれば
人の視線を気にしなくていいため、
そのためにカーテンをつける必要がなくなり、
そこから光がたっぷりと入ってきて、
かつ、家の真ん中から取った光が
家の端まで拡散していってくれるため、
日中、安定した明るさをもたらしてくれます。
晴れの日はもちろん、曇りや雨の日でも。

かつ、その窓の向こうに広がる
空や景色を見ることも出来ます。

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続いて、ウッドデッキについて。
「中庭」がない平屋は
基本、ウッドデッキも
人から丸見えの場所につくらざるを得ません。

結果、最初のうちは
バーベキューや遊び場として多少使ったとしても、
どんどん使わなくなり、
遅かれ早かれ全く使わない
「ただのお飾り」と化してしまいます。

他方、「中庭」をつくり
そこにウッドデッキをつくれば、
プライバシーが担保されているため
持て余すことなくふんだんに使うことが出来ます。

バーベキューをするのはもちろん、
単純に食事をとるにしても、
テントを貼ってキャンプ気分を味わうにしても、
プールを出して水遊びをするにしても、
まったりとお酒を飲むにしても、
ハンモックで昼寝をするにしても、です。

しかも、そこで遊ぶ子どもの姿を見ながら
キッチンやリビングで家事を
こなすことだって出来ますしね。
わざわざ、家事の手を止めて
子どもを外に遊びに連れて行かなくても、です。

これ1つを取っても
かなり大きく違うことが
お分かりいただけたのではないでしょうか。

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最後にもう1つ。
それは洗濯の動線です。
そもそも平屋になれば、
上下移動がなくなり平行移動だけになるので、
2階建てよりかは便利になります。

とはいえ、あなたが
晴れた日や花粉を気にしなくていい日は、
外に干して乾かしたいとお考えであれば、
「中庭」のあるなしによって
これまた大きな違いが生じます。

「中庭」がない平屋だと、
勝手口を出て隣家との間のスペースに
干しに行かなくてはいけないため、
ノーメイクやパジャマのままでは
この作業がやりにくいのに対し、
「中庭」があればここに干せばいいので、
身なりのことを一切気にする必要もなければ、
時間帯も一切気にする必要もありません。

また、勝手口を出て外にいくとなれば、
夏は汗だくになるし、冬は手や足がかじかむ、
そして、そんな中何回も洗濯物の出し入れをしないといけない
という大変な状況になるのに対し、
「中庭」があれば、
干すも取り込むも数歩の移動だけで全てが片付くため、
暑い、寒い、面倒臭いという思いを
全くしなくてよくなります。

いかがでしたでしょうか?
単純に平屋にすればそれだけで
暮らしやすくなるわけではないこと、
そして、間取りのつくり方によって
暮らしの質に大きな違いが生じることに
お気づきいただけたのではないでしょうか。

というわけなので、
これから家を建てる方は
この違いをご理解いただいた上で
家づくりを進めていただけたらと思います。

それでは、また次回。