vol.225 モノとコストが増えにくい家づくり

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「モノとコストが増えにくい家づくり」です。

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アパート・マンションの収納不足問題は、
どんどん荷物が増えていく子育て世代にとって
なんとも悩ましい問題ですが、
とはいえ、新築時に収納をつくり過ぎると
2つ別の問題を発症します。

1つは「コスト増加問題」。
収納が増えれば家の床面積が増える。
そして、家の床面積が増えれば家の価格が増えるからです。

もう1つは、
「さらにものが増えやすくなる」という問題なのですが、
これは、そもそも人が余白(空白)を埋めたくなる
という習性を持っているがために発生する問題です。

おそらく経験があるかと思いますが、
スーパーで買い物カゴを持ったが最後、
カゴの余白を埋めるためについつい買わなくていいものまで
ついでに買ってしまうのと同じですね。

ゆえ、収納をつくる時は
「無さ過ぎて困らないように、
でもつくり過ぎて別の問題を引き起こさないように」
の丁度良い塩梅のところを攻めていくことが大切な要素となります。
要は、コストと機能性のバランスを図ることが大切だということですね。

では、そのためにはどうすればいいか?
それは、まず収納づくりの焦点を
「管理がしやすいこと」に当てることです。

例えば、アパート・マンションなどに多い
「押入れ」と呼ばれるいわゆる奥行きが深い収納は、
「管理がしやすい」に焦点を当てた場合
決して「Yes」ではありませんよね。

子ども部屋や寝室などは
布団を置くことがあるのでともかくとして、
リビングやキッチンといったいつもみんなが過ごすところには
そもそも奥行きが必要なものがなに一つないからです。

なので収納づくりでは棚の奥行きを
出来るだけ浅くしていただくことをオススメしています。

棚の奥行きが深くなると、
置いたものの手前にさらにものを置いてしまいやすくなり、
結果、奥のものが取り出しにくくなったり、
奥に置いてあるものが分からなくなり、
あるのにまた同じものを買ってしまうという
悪循環を生み出す原因になってしまいますからね。

結論としては、
奥行きを半分にし、その分幅を2倍にする。
これが最良の手段ではないでしょうか。

床面積を増やすことなく(=コストを増やすことなく)
収納量が単純に2倍になるからです。
かつ、手前に被ってものが置けないため自然と管理もしやすくなる。
そして、高さも配慮しながら棚の枚数を増やしてやれば、
さらに置けるものの量が増えるというわけですからね。

なにも考えずに収納をつくった場合より、
コストを上げることなく分量を3倍にも4倍にも出来る、
かつ管理もしやすくなり無駄な出費の連鎖も防ぐことが出来る、
素晴らしい方法だと思います。


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✔️廊下をなくす

管理のしやすさを意識して収納をつくるようにすれば、
床面積を増やすことなく収納量を増やすことが出来るのですが、
とはいえ、せっかく合理的に増やした収納量を
あっという間に減らしてしまうのが「通り抜け動線」です。

「通り抜ける=通路(廊下)が出来る」
→「廊下が出来る=壁が使えなくなる」
→「壁が使えない=棚がつくれない」
→「棚がない=収納として機能しない」
ことになるからです。

通り抜け動線に関しては、
「その利便性は収納量を減らしてまでやる価値があるのか?」まで
一歩踏み込んで考えていただいた上で
ご採用いただくことをオススメしています。

それによって収納が減り、
それをカバーするために別で収納をつくるなんてことになれば
コストアップの原因となってしまうし、
その予算をカットした場合、
収納不足に悩むことになるかもしれませんからね。

以上、これから家づくりをされる方は
これらを意識しながら図面を見るようにしていただければと思います。

それでは、また次回。

vol.224 ズボラな人に優しい家づくり

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「ズボラな人に優しい家づくり」です。

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掃除が出来るか出来ないは「結局性格によるものだ」
なんて言われてしまうと元も子もありませんし、
確かにそうなのかもしれませんが、
全く掃除が好きじゃない人からすると、
楽々と掃除が出来る仕組みというか
ウルトラC的なものを家そのものに求めたくなるものです。

そもそも散らかりにくい仕組みとか
埃が溜まりにくい仕組みとか、
ものが増えにくい仕組みとか、
勝手に掃除してくれる仕組みとか。

そんなズボラな人に向けて、出来る工夫がいくつか存在するので、
今回はそれらについてお伝えしていきたいと思います。

では、まず散らかりにくい仕組みについてからですが、
これに関しては2つあります。
1つ目が「子ども部屋を1階につくる」
そしてもう1つが
「キッチン背面に広めのパントリーをつくる」です。

子ども部屋を2階につくっても
子どもが小さいうちはその部屋を使うことがないし、
そもそもリビング周辺に散らかるものは
子どものものばかりだからです。

リビングから近い場所であり
かつ水平移動だけで行き来出来る場所に
子ども部屋をつくることが、
散らかりにくい家にするための
最も優れた手段だと考えている次第です。

キッチン背面に広めのパントリーをつくった方がいい理由は、
キッチンの裏に収納があれば
そこに細々としたもの(食材や日用品)
を全て隠すことが出来ると同時に、
ペタペタと貼ってしまう冷蔵庫も
見えないように出来るからです。

奥さんのテリトリーであるキッチン付近に
まとまって物が置ける収納があった方が
なにかと使い勝手がいいでしょうし、
食品のストックだけじゃなく
リビングで使うような細々したものも
(ハサミ・爪切り・文房具などなど)
きっと管理もしやすいでしょうしね。

以上2つが、散らかりやすいリビングダイニングキッチンを
スッキリ保ちやすくするアイデアですが、
これに加えてキッチン前のカウンターに
なにも置けないようにすれば
さらにスッキリさせやすくなると思います。

キッチンの手元を隠すためにつくるカウンターを
ものが置けるようにつくってしまうと、
そこはちょうどものが置きやすい高さで仕上げることになるため
自然といろんなものを置いてしまう可能性が高いし、
そうなるとキッチン周辺がゴチャゴチャしてしまいますからね。
キッチンの背面同様にキッチンカウンターの上は
リビングやダイニングから一番よく見える場所ですからね。


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✔️スッキリとしたおさまりにする

続いて、お伝えさせていただくのが
埃が溜まりにくい仕組みについて。
これに関しては埃が溜まる場所を減らすことですが、
そのためにやっていることが
スッキリとしたおさまりにすることです。

例えば、室内ドア。
一般的ドアは2mの高さのものを使いますが、
そうなるとドア枠が必要となりその上に埃が溜まります。
他方、天井までのドアを使えば
ドア枠の上に埃が溜まる心配がありません。

例えば、窓。
一般的に窓には窓枠設置しガラスも透明のものを使用しますが、
そうなると窓枠の上に埃が溜まるし
かつそこにカーテンを設置するとなると、
カーテンやカーテンレールの上にも埃が溜まります。

他方、窓枠をなくせば埃が溜まる場所を減らせるし、
かつ、曇りガラスを使用したり窓の設置する高さを工夫すれば、
カーテンやカーテンレールを設置しなくてよくなるため、
さらに埃掃除の手間が省けます。

例えば、ニッチ(飾り棚)。
ニッチをつくればそこになにかを飾ることが出来、
空間を彩ってくれるのですが、
そこにも埃は溜まるしなにかを置いているため
掃除がしにくいという難点があるのもまた一つの事実です。
ゆえに掃除の手間を増やしたくないとしたら
つくり過ぎには要注意です。

例えば、キッチン前カウンター。
先程述べたこの棚に関しては
他の場所に比べて水や油によって埃が固まりやすいため、
その観点からしてもものが置きにくいつくりにしておいた方が
掃除の手間を減らすには大いに寄与すると考えています。

などなど。
スッキリを意識していただくことが
掃除の手間減につながることを
覚えておいていただければと思います。

この他、2階建てにすれば必ず階段が出来ますが、
この階段にも埃は溜まるし
(踏板の上だけじゃなく、幅木・手摺・手摺のブラケット)
階段は隅々まで掃除がしにくいので、
平屋にすることも埃掃除の手間を減らす隠れた秘訣だったりします。

いかがでしたか?
今回はここまでにして
次回は「ものが増えにくい仕組み」について考えていきたいと思います。

それでは、また次回。

vol.223 建ぺい率の有効利用

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「建ぺい率の有効利用」です。

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前回、その土地にどれくらいまで
1階部分をつくっていいのかを定めた指標である
「建ぺい率」について少し触れさせていただきましたが、
一般的な住宅地の場合、建ぺい率は60%であることが多いです。

よって、そこに建てていい1階の面積は、
土地の面積が50坪である場合
30坪が上限であり、60坪である場合、
36坪が上限ということになります。

そして、そう考えると
60坪の土地である場合はもちろん、
建てる家の大きさ次第では
たとえ50坪土地だとしても
平屋を建てることが出来るということになります。

では今回は、この観点から
土地と家の関係性について考えていきたいと思いますが
先程、土地面積が60坪である場合、
そこには1階部分を最大36坪まで作ることが出来るとお伝えしましたが、
仮に建ぺい率をいっぱいまで使ったとしたら
その土地に残る余白は24坪ということになりますよね。

では、この残り24坪は一体どのように使われるのか。

まず、家を建てるとなれば家の周囲に通路が必要となります。
水道管を埋設したり、給湯器を置いたり、
エアコンの室外機を置いたりするための余白です。
あるいは、軒があるお家だと
屋根や軒先の樋が敷地からはみ出さないように。

そして、この余白は
建てる家によって多少の誤差は出るものの
概ね10坪は必要となってきます。
ゆえ、これを差し引くと残りは14坪となるのですが、
続いて必要となるのが車を止めるためのスペースですね。

では、駐車スペースには一体どれくらい必要なのか。
これも置く車の大きさによって
必要となる奥行きが多少違ってくるものの、
概ね1台あたり4.5坪必要だと
お考えいただくといいかと思います。

4.5坪=約15㎡
15㎡=2.5m×6mという計算式です。
かなり車が止めやすいなと感じる
スーパーで引かれている白線の幅が2.5mなので、
奥行きはさることながら幅に関してもゆとりがある感じですね。

これらをまとめると
60坪という広さの土地には
1階の総面積が36坪の家を建てつつ
駐車場を3台確保することが出来るというわけですが、
そんなわけでSIMPLENOTEは
土地面積が60坪あるとしたらぜひ平屋を建てましょう
とお伝えさせていただいています。

ちなみに総面積36坪の家を分解すると、
玄関ポーチ(外玄関)面積を1坪と仮定した場合、
中庭面積が3坪(=6帖)だとしたら
延床面積は32坪が上限、
中庭面積が5坪(=10帖)だとしたら
延床面積は30坪が上限、
ということになるので、
階段もなく廊下も極限まで減らすことが出来、
かつ余分な部屋もつくる必要がない平屋だと
かなりゆったりしたサイズ感で建てられるという感じですね。


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✔️50坪場合どうなるのか?

では、50坪の場合一体どんな感じになるでしょうか。
この場合、建てていい1階総面積の上限は30坪になるため、
敷地の残りは20坪となります。
そして、そこから家の周囲余白10坪を差し引くと
残りが10坪となるので、
ここに停められる車は2台ということになります。

車を3台停めたいとお考えの方は
建てる家を3.5坪〜4坪ほど
小さくしていただかなくてはいけません。
総面積26坪〜26.5坪ですね。

では、仮に先程同様に
玄関ポーチ(外玄関)面積を1坪、
中庭面積を3坪(=6帖)と仮定してみると
確保することが出来る床面積は
22〜22.5坪ということになりますね。

となると、
3人家族であるなら平屋を建てることは出来ますが、
大抵の場合、2階部分をつくらざるを得なくなる
といった感じではないでしょうか。

車が2台でいいなら
26坪前後床面積をとることが出来るので
平屋を建てることが出来ます。

いかがでしたか?
50坪、60坪という広さがどれくらいの広さなのか
少しイメージしていただけたでしょうか。

というわけで、
これから土地探しをされる方は
ぜひ参考にしていただければと思います。

なお、外にも庭がつくりたいとお考えの方は、
もっと土地を広くするか、
あるいはもっと家の面積を小さくしないといけないので、
それも加味しつつ
自分にとって必要な土地面積を算出してみてください。

それでは、また次回。

vol.222 土地に答えを求めない

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「土地に答えを求めない」です。

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その土地にどれくらいまで
1階部分をつくっていいのかを定めた指標のことを
「建ぺい率」と言いますが、
個人的にはギリギリまで
「建ぺい率」を使った方がいいと考えています。

理由は、敷地に余白を残せばその分
外構工事の施工面積が増えることになり
外構工事費用が嵩むと同時に、
庭の維持管理の手間も増えてしまうから、
そして、出来るだけ1階に部屋や収納を集約した方が
老後はもちろんのこと、子育て期間中も
圧倒的に家が使いやすいからです。

洗濯動線にしても、
上下移動があるお家よりも水平移動だけで済むお家の方が
圧倒的に負担が減るのは間違いないし、
片付けや掃除にしても、
上下に収納場所が分かれているより
同じフロアに収納場所がかたまっている方が
圧倒的に負担が減るのも間違いありませんからね。

そんなわけで、
SIMPLENOTEではギリギリのところまで「建ぺい率」を使うことで
1階部分をなるだけ大きくする(=広くつくる)
ようにしているのですが、とはいえこの選択は
当たり前に縛られていては到底実現することが出来ません。


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✔️家づくりの邪魔をする常識とは

家を建てる誰もが「南向き=価値がある」と考えますが、
これは見方によって正解になることもあれば、
逆に不正解になることもあります。

正解であるケースは
いつかその家(と土地)を売却しようとお考えの場合。
「南向き=価値がある」ということは
高い価格で売れる可能性が高いし、
かつ、売り(れ)やすいからです。

要は、資産価値が高い上落ちにくくもあるので、
将来売却を考えている方にとっては
ベストな土地であるということですね。

他方、不正解の場合は
ずっとそこで暮らし続けようとお考えの場合です。

南向きの土地を買ってしまうと、
部屋も全て南向きでつくらねばと考えてしまうと同時に、
南に大きな窓を設置せねばと考えてしまい、
これらが結果的にコストの増加と
使いにくさと耐震性の劣化を引き起こすことになるからです。

コストの増加は、
プライバシーを担保するために
カーテンや目隠しなどに余分なコストがかかってしまうから、
防犯性を担保するために
シャッターや塀、門などに余分なコストがかかってしまうから、
日当たりを担保するために2階建ての家を建てることになり
結果、外構工事面積が増加するから、
そして、そもそも土地代自体が最も割高であるから。

使いにくくなるのは、
南向きの部屋にこだわると2階建てありきの設計となるため、
生活が上下に分断され洗濯動線や片付けが複雑になるし、
掃除の負担も確実に増えるから。

耐震性の劣化に関しては、
耐震等級3の取得に必要な壁量は辻褄合わせで確保出来たとしても、
耐震において最も重要な壁量バランスが南と北で大きく崩れるから、
かつ、上下の壁量バランスも確実に悪くなるからですね。

大空間を必要とする1階は壁量が少なくなるのに対し、
2階は細かく部屋を仕切るため
どうしても壁量が多くなってしまいますからね。

そんなわけで、
ずっとそこで暮らし続けようとお考えの方には、
この「南向き信者」から卒業していただきたいと
考えている次第です。

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✔️日当たりの担保は設計で実現する

間取りを考える際、
直射光じゃなければ明るい家をつくれないと
多くの方が勘違いされていますが、
安定した明るさを担保するために必要な光は
直射光ではなく天空光であるため、
この2つの光を使い分けることが
設計では非常に重要になります。

天空光とは、
大気中の塵や水蒸気によって反射、拡散する光のことで、
直射光のように天候に左右されることなく
室内に光を届けてくれるのはこの天空光です。

まずは天空光でいい部屋と
直射光を取り入れたい部屋を区別しておいてください。

これを理解していただければ
これまで「平屋は無理だ」と諦めていた土地でも
平屋を建てることが出来るようになる
可能性が格段にアップします。
そして、平屋にすることによってコストが抑えられ、
使いやすさも向上し、耐震に不安を抱える必要もなくなります。

日当たりや明るさ、そして暮らしやすさは
土地によって決まるのではなく設計によって決まる。
それぐらい設計は大事である。
これを覚えておいてください!

それでは、また次回。


vol.221 ミニマムコストで収納を充実させる方法

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「ミニマムコストで収納を充実させる方法」です。

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収納スペースを増やせば(=床面積を増やせば)
単純に収納力はアップするものの
その分コストまで増えてしまうのが手痛いところです。

現在の建築コストからすると
2帖(=1坪)分収納を増やせば、
1階部分であれば7〜80万円
2階部分だとしても5〜60万円ほど
建築コストが上がってしまいますからね。
(2階に収納を増やしても使い勝手が悪く、
増やした意味をなさない可能性が高いため
どうせなら1階に増やそうとする方がほとんどではないでしょうか?)

とはいえ、
現在の暮らしからすると収納不足は深刻な問題であり、
家を建てることによってその問題は完全に解決したい
そうお考えの方が多いと思うので、
今回は金銭的な負担を上げずに収納に困らない
家を建てるための知識をお伝えしていきたいと思います。

この問題におけるSIMPLENOTEからの解決策は2つ。
1つは「平屋にすること」
あるいは平屋が無理な場合「子ども部屋を1階につくること」
そしてもう1つは「壁面を有効活用すること」です。

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✔️平屋にしてコストは大丈夫なのか?

平屋にすると全ての部屋と収納が1階になり、
上下移動の必要がなくなり
水平移動だけで全てが完結するため、
本来、自分の部屋に持っていって欲しい荷物が
面倒臭いからという理由で
1階に置きっ放しになるリスクがほぼゼロになります。

小さな子ども達はお母さんの近くでずっといるため、
リビングやキッチン周辺に子ども達の荷物が常に集まるし、
それらを毎日自分の部屋まで片付けに行けないですしね。

洋服に関しても2階の部屋に収納を作ったとて
自分の部屋を使うようになる思春期までは
その収納に服が片付けられることはまずないでしょうし、
思春期になったとていつも着る服をいちいち持って上がったり
持っておりたりするのは面倒なため階段に置きっ放しになったり、
いつも使うものなどはリビング付近に散乱する可能性が
圧倒的に高いです。

そんなわけで出来れば平屋にするか、
あるいは平屋が無理だとしても
せめて子ども部屋だけは1階につくることを推奨している
というわけです。

要は子ども部屋を1階につくれば、
子ども部屋の収納を持て余すことなく使えるし、
かつ、子ども部屋そのものを子ども達の収納として使うことが出来、
結果、収納不足問題を解決しやすくなるというわけです。

ただ、それは理解していただけたとしても
そもそも平屋にするということ自体が
建築コストが上がってしまうのではないか?
という疑問があると思います。

この問題に関しては、階段がなくなることに加え、
なくてもいい廊下を限りなくゼロに出来ること、
かつ余分な部屋をつくる必要がなくなること、
(全ての部屋と収納が1階にあるからです)
これらの合わせ技によって
2階建てと同等の費用もしくは、
2階建てより抑えながら建てることが出来るようになるため、
「平屋=高い」という概念は
今すぐ頭の中から消去いただければと思います。

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✔️収納力は「床」ではなく「壁」

収納を増やすために床面積を広げると
それに連動してコストが増えますが、
壁面積を増やすのは
コストが増えるどころか逆にコストが下がります。

使える壁を増やすためには
「窓」の数を減らす必要があるからです。
そして、窓が減ればその分コストが落ちると同時に、
カーテンも数も減るためさらにコストが下がるという理屈ですね。

ただ、これを実現するためには
最小限の窓だけで家全体に光を届けられるように
窓の設計をしないといけません。
いや、その前に間取りの設計をしないといけません。

しかし、基本カーテンが必要ない家にすることが出来れば、
窓1つ1つからたっぷりと光が入ってくるようになるため、
光不足に備えて窓の数を増やす必要がなくなり、
自ずと壁量が増えることにつながります。

というわけなので、
「収納はたくさん欲しい!でもコストは抑えたい」という方は、
ぜひこの2つの方法を実践していただければと思います。

それでは、また次回。

vol.220 隠れた費用に要注意!

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「隠れた費用に要注意!」です。

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土地探しをするにあたり注意すべき点の1つが、
表示されている価格だけでは土地を買うことは出来ず、
土地によりけりで様々な費用が別途でかかるということです。

例えば、不動産会社が売主である場合
仲介手数料が必要ありませんが、
そうではない土地である場合、
基本(土地価格×3%+6万円)×消費税
の仲介手数料が必要となります。

また、土地に水道が引き込まれていない場合、
道路から水道を引き込む費用が別途でかかると共に、
水道を管理している市町村に
水道加入金を支払わないといけません。

この他、隣地との境界費用や排水同意金といった費用が
別途で必要となってくるケースが多く、
要は土地購入に関しては、
土地代以外にかかる費用も把握することが大切で、
その上で土地購入に踏み切っていただきたいと考えています。

とまあ、これが土地探しをする上で
抑えておきたい基本なのですが、
これを知っていないと
相場に比べて安く土地が買えたのに
蓋を開けてみると安くないどころか
逆に高くついてしまったという
事態を招く恐れがあります。


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(ケース1)

✔️境界工事全やり直し

土地購入において最も気を付けた方がいい土地は
古い家が建っている土地です。
理由はいくつかあるのですが、
まず気を付けるべきところが境界です。

というのも、昔に建てられたブロックは
そもそも基礎がない場合も多いし、
基礎があったとしても強度的に問題がある場合もあれば、
ブロックだけでなく
基礎から斜めに倒れてしまっている場合も多々あり、
これらは全て基礎工事からやり直さないといけないからです。

そして、そうなると
基礎工事だけでも1mあたり15,000円前後、
それ加えて上に積むブロック費用が1mあたり9,000円前後、
必要になってきます。

仮に、やり直さないといけない境界の長さが30mあるとして、
隣地の方が費用的に協力してくれず
仕方なく自分の敷地内で収まるように境界工事をするとしたら、
基礎工事だけで45万円、
ブロックまで積むとしたらさらに27万円、
これにブロックの解体費用に10万円、
合計で82万円も余分な工事が必要になってくるという感じです。
(土地が大きく距離が2倍になれば単純に工事代も2倍になります)


(ケース2)
✔️水道のやり直し

続いて気を付けるべきところが水道の状況です。
元々家が建っていたからといって
必ず水道が引き込まれているかというとそうではないし、
仮に引き込まれていても水道管が細く
水圧に問題がある場合がほとんどだからです。

ゆえ、この調査も購入する前にしていただき、
その費用も予算計上しておいてください。
引き込み直しとなればそれだけで3〜40万円ぐらいかかるし、
それに加えて水道加入金が必要となってきますからね。


(ケース3)
✔️予期せぬ解体費用

そしてもう1つ気をつけておいた方がいいことが
解体工事です。

解体更地渡しという条件であれば
別段問題が生じることはありませんが、
現況渡しという契約条件である場合、
こちら側で解体工事をしなければいけません。

そしてこの場合、
家だけじゃなく境界ブロックも解体しないといけない、
鬱蒼と生い茂った草木を除去しないといけない、
家の中に残った家財道具を撤去しないといけない、
などの費用がかかってしまうことで、
思っていたより解体費用が嵩むことがあります。

また、鉄筋コンクリートや鉄骨の場合、
アスベストが材料に混入されているということが
後から発覚することもあるかもしれません。
そして、そうなるとその除去費用に
とんでもない費用がかかってしまいます。

古い家がある土地を購入する場合に至っては、
これらを調査しこれらの費用も計上した上で
購入をご検討いただければと思います。

それでは、また次回。

vol.219 カーテンがいらない利点

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「カーテンがいらない利点」です。

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カーテンありきで間取りをつくると
カーテン代が余分にかかると同時に
予定していた採光が取れないことから
いざ暮らし出してみると
思っていたよりも家の中が薄暗くなります。

またカーテンを開けることが出来ない家は
採光の確保だけじゃなく
通風の確保も難しくなってしまうし、
カーテンやレールがあることによって
掃除にも一手間を要することになります。
窓が多くなれば窓の掃除箇所も増えるだけですしね。
(戸締りの心配も!)

そんなわけで弊社では、
「コストカット」「採光・通風の安定」
「掃除の手間カット」が実現出来るよう
カーテンありきで間取りをつくらないようにしているのですが、
その最大の利点は実は意外なところに潜んでいます。

では、その利点とは何か?
それは"カーテンありきで間取りをつくらない"
"=窓を最小限にすることが出来る"から生まれる利点です。

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✔️より高い耐震性を実現

窓の数が増えれば、その分耐震性を有する壁の量が減り、
窓の数が減れば、その分耐震性を有する壁の数が増えるため、
結果的により耐震性が高い住まいが出来上がります。

これに加えて、
平屋を基本としつつ「中庭」から採光を確保し
外周部につくる窓を最小化することで、
外周面の壁量の十分な確保と
バランスのいい壁量配置が自然と出来るようになるので、
更なる高い耐震性を実現出来ます。

✔️より良い快適性を実現

窓(サッシ・ガラス)の性能はここ数年でも著しく進歩したため
昔の家に比べると窓からの熱損失は小さくなったものの、
それでも断熱材が施工された壁に比べると
熱損失が大きいのは紛れもない事実です。

ゆえ、窓の数を減らすことは
必然的により高い室内の快適性確保に寄与します。

これに加えて空気の循環を妨げる原因となる
「廊下」や「階段」をなくすことが出来れば、
さらに冷暖房効果が高まり
更なる高い快適性をもたらしてくれます。

かつ、床面積の減少にも繋がり
その分、建築費を圧縮することが出来るし、
そこに必要となる「窓」や「ドア」もなくすことが出来るため
更なる建築費の圧縮につながります。

✔️部屋と収納が使いやすくなる

おそらく「言われてみると確かに」
と思っていただけると思いますが、
窓を最小化すると壁の量が増えるので、
結果、部屋が使いやすくなるし
収納もより多くつくることが出来ます。

部屋の使いやすさに関しては、
窓が多かったり大きいと家具の配置が限定されてしまうし、
欲しい場所にコンセントがつくりにくくなったりするのに対し、
窓の数やサイズを最小化すればそのストレスが緩和されるからです。

収納に関しても使える壁の量が増えると
その分収納がたくさんつくれるようになるのですが、
これも意外と知られていない事実です。
多くの方が「収納の多さ=床面積の多さ」だと
思い込んでしまっていますからね。

そんなわけで壁量を増やすことによって
コストをアップさせることなく
より多く収納がつくれるようにしているというわけです。

いかがでしたでしょうか?
これら冒頭にお伝えした利点に加えて
カーテンありきで間取りを考えないことによって
享受出来る大きな利点なので、
これから家を建てる方は参考にしていただけたらと思います。

それでは、また次回。

vol.218 耐震とバランス

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「耐震とバランス」です。

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屋根には重たい瓦が乗っている上
ホールダウン金物によって
基礎と柱が緊結されていない昔の家は、
大きな地震が起こった時2階部分が真下に崩れ落ち、
それを原因として命を落とす可能性がかなり高いのですが、
屋根が軽量化されホールダウン金物が
標準的に設置されるようになってからは
そのリスクが大幅に軽減されました。

とはいえ、
ここ最近の地震の傾向を見る限り
震度7クラスの大きな地震が1度だけ起こって終わりではなく、
2度3度と繰り返し起こっているし
その後も3〜4クラスの余震が継続して起こっていることから、
より耐震に細心の注意払い対策を講じなければいけません。

というわけで今回は、
高い耐震性を実現するために
知っておいていただきたいことについて
お伝えしていきたいと思います。

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✔️平屋を基本で考える

間取りにもよるものの2階建てと平屋を比べると、
確実に2階建ての家の方が耐震性は低くなりやすいのは事実です。
1階には大空間がつくられるのに対し
2階は細々と区切られた個々の部屋がつくられるからです。

要するに、2階は柱や壁が多くなり重くなるのに対し、
その荷重を支える肝心の1階に柱や壁が少なくなってしまうのが
2階建ての難点だということですね。

その上、充分な採光を確保するために
1階部分には大きな窓を設置することから
さらに柱や壁量が減ってしまいがちですしね。

ゆえに、平屋が建てられるのであれば
平屋にしていただくのがベストであると考えているのですが、
敷地にゆとりがなく2階建てしか建てられないとしたら
1階部分と2階部分の柱の位置は60%以上合わせること、
1階部分と2階部分の壁の位置は50%以上合わせること、
この2つをクリアすることを意識しつつ
間取りを考えていただければと思います。

✔️重要なのはバランス

そして、耐震を考える上で最も重要なのはバランスだと思います。
健康を維持するために摂取する食べ物のバランスが大事なように。
また食事と運動のバランスが大事なように。

例えば、家づくりでは
南からの直射光を取得することが大事であるという考え方がありますが、
これに固執し過ぎると確実に耐震性は低くなります。

直射光がたっぷり取れる南ばかりに開口が集中するのに対し、
直射光が全く取れない北には開口をほとんど設けず、
結果、南と北の壁量バランスが非常に悪くなるからです。

その上、
2階部分にベランダなんかを突き出して施工しようものなら、
壁がない南側に更なる負担がのしかかってくるわけですしね。
かつ、先程申し上げたように2階建ての場合、
上からの荷重に対しそれを受ける1階に柱や壁が少ないため
そもそもバランスが悪いわけですしね。

ゆえ、単純に壁量を増やすことで帳尻を合わせるのではなく、
全体にバランスよく壁が配置されているかを確認しながら
間取りを考えていただければと思います。

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✔️「中庭」は耐震性が悪い?

時折「中庭は耐震性が悪いからダメだ」
というお話をお伺いすることがありますが、
果たしてそうでしょうか?

「中庭」をつくると確かに家の中の壁量は少なくなります。
しかし、採光を中庭から取れる分、
外周部からの採光が必要なくなるため
外周部に設ける窓を圧倒的に減らすことが出来ます。

結果、外周部に壁を多くつくることが出来るし、
東西南北四方にバランスよく壁を配置することが出来るようになります。
つまり、高い耐震性が実現出来るというわけです。

かつ、平屋にすれば上からの荷重も心配しなくていいし、
重量車両の通行による振動や台風時の強風などの影響も
最小限に抑えることが出来るし、
なにより耐震等級3を取得するのに
間取りに制限を受けることもほとんどありません。

というわけなので、
耐震に関しては等級や制震なども大事なことですが、
より強く長持ちする家にするためには
バランスがいい建て方になっているかがそれ以上に大事であることを
頭の片隅に入れておいていただければと思います。

それでは、また次回。