vol.71 現地でチェックすべきお金に関わる2つのこと

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「現地でチェックすべきお金に関わる2つのこと」です。

土地は土地代だけで買えるわけではなく、
付随して様々な費用がかかるし、
その費用も土地の状況によって異なるため、
あらかじめ現地でそのチェックをしておく必要があります。

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例えば、この土地は分譲地ではなく、
昔ながらの家に囲まれた土地なのですが、
このような土地を見に行った時には、
写真に(汚く)書き込まれている5つを現地でチェックした上で、
不動産屋さんに確認するなり自ら調べるなどしなければいけません。
この5つは全て費用に直結することだからです。

そして、それらの費用がどれくらいかかるのかを織り込んだ上で
この土地を買うかどうかを考えるべきなんですよね。

というわけで今回は、
土地のチェックポイントについて
具体例を挙げながらお伝えしていきたいと思います。
簡単なのでぜひ覚えておいてください!


✔️隣地との境界

①〜③は全て隣地との境界ですが、
①・②・③全てそれぞれ若干状況が違うので、
あえて分けてお伝えさせていただきます。

まず①ですが、
奥半分ぐらいには境界の基礎のような構造物が目視出来るのに対し、
手前半分には境界基礎のような構造物がなく
アスファルト舗装された道路のようなものが目視出来ます。

なので、確認すべきことは、
この道が道路として認定されているのか?
それとも、奥の土地の方の所有物なのか?
(私道か?)ということです。

確認すべき理由は、
これが道路として認定されているとしたら、
4mに満ちていない場合は
道路の中心から2mのところが新たな境界となるため、
そこまでは構造物をつくることが出来ないからです。

つまり、仮に境界をつくるとしたら
今の道路との境目ではなく、
道路から2mのラインに合わせて
境界をつくらなければいけなくなるということですね。

もちろん、この場合その費用は
全額自分で負担しなければいけないので、
その費用も計算しておかなくてはいけません。

そして、奥の半分には基礎のようなものがありますが、
これも奥まで道路が続いていて
それが道路として認定されているとしたら、
この基礎は一旦取り壊さなければいけないかもしれません。
道路の中心から2mのところが新しい境界になるからです。

そして、そうだとしたら
その費用は売主の負担なのか?あるいは買主の負担なのか?
これをあらかじめ聞いておかないといけません。
かつ、この境目に境界基礎をつくるのだとしたら、
その費用も計上しておかないといけません。
これが①のラインで確認しておきたい事ですね。

続いてが②の境界なのですが、
この直線には境界の基礎のようなものが目視出来ます。
(黒い線のせいで見えませんが...)

なので、これが境界だとしたら、
この基礎が使えるものなのか?
そのまま使えないとしたら補強をすれば使えるのか?
あるいは一旦壊して新設しないといけないのか?
を確認しておかなくてはいけません。
そして、やり直す場合は、
どれくらい費用がかかるのかも計算しておかないといけません。

続いてが③ですね。
これも①同様に奥には境界壁があり手前には何もないという状態ですね。
この場合、奥のブロックまで積んでいる境界が隣との中心なのか?
自分たち側に入っているのか?あるいは隣側に入っているのか?を
不動産屋さんに確認してください。

これによって手前の何もないところに境界をどうつくるかが違ってくるし、
費用負担も全く違ってくるからです。

もちろん、一旦壊してやり直すのが、一番コストがかかるので、
出来れば使えるものはそのまま使いたいところですが、
これだけ古そうだと強度的な問題も否めませんからね。

なので、まずはとっても大切な境界について
不動産屋さんに必ず聞くようにしてください。
これを見落とすと後からとんでもない費用が必要になるので絶対にお忘れなく。

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✔️水道と排水

そしてもう1つ現地で
チェックしておいて欲しいことが水道と排水です。

④をご覧いただくとお分かりいただけますが、
この土地は水道が入ったままになっています。
コーンが立っているところには水道の立ち上げがあるし、
その横にメーターボックスがあるからです。

ゆえ、もしかしたらこの土地は水道をそのまま使えるかもしれないし、
そのままではダメなので再度引き込まないといけないかもしれないのですが、
もちろん、このどちらなのかでこれにかかる費用が大きく異なってきます。

なので、この水道がそのまま使えるのか?
あるいはやり直さないといけないのかを
必ず不動産屋さんに確認いただけたらと思います。
(不動産屋さんが曖昧なら市役所の水道課に行くと丁寧に教えてくれます)

排水については⑤の矢印をご覧いただくと分かるように、
敷地に接した道路の隅っこに側溝と呼ばれる蓋付きの溝があるかどうかを
チェックしておいてください。

そして仮に、これが敷地に接してない場合は
道路の反対側にないかを、
道路の反対側にもない場合は、どこに排水すれば良いのかを
不動産屋さんに確認しなければいけません。
排水が出来ないとなれば、
かなり高い確率で家を建てることが出来ませんからね。

ちなみにこの土地に関しては、
道路の真ん中あたりにでっかいマンホールがあり、
この蓋に「おすい」と書かれているため下水道地域ということになります。
つまり浄化槽を設置する必要がないということですね。

いかがでしたか?
かなり長くなってしまいましたが、
実例を挙げながらご説明させていただくと、
少し分かりやすかったのではないでしょうか。

というわけで、この2つのチェックポイントを
現地で見逃さないことを意識しながら
土地の下見に行ってもらえたらと思います。

それでは、また次回。

vol.70 設計の考え方と土地を見る視点 その2

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「設計の考え方と土地を見る視点 その2」です。

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この写真の土地は、
間口約16.10m×奥行き約20.30mのきれいな形をした
約98.5坪の南向きの土地(分譲地の一画)ですが、
仮にあなたがこの土地に家を建てるとしたら、
どのような家をご想像されますか?

さて、今回も前回に引き続き実在する土地を例に挙げつつ、
設計や土地の考え方についてお伝えしていきたいと思います。
前回は北向きで50坪をやや切る土地だったのに対し、
今回は南向きで100坪近くある
いわば前回と正反対のような土地についてお伝えしていくので、
「南向きの土地がいい!」とか
「広い土地がいい!」とお考えの方は、
ぜひ最後までご覧いただけたらと思います。


✔️この土地でやらないほうがいい2つのこと

まずこの土地でやらないほうがいいことは
「こんな広い土地なのに2階建てを建てる」
ということです。

平屋を建てたとしても莫大な余白が出来てしまうのに、
2階建てなんて建ててしまった時には、
さらに敷地に余白が出来てしまうからです。

仮に1階が20坪の家を建てるとなれば
余白が78.5坪も出来るのですが、
そのうちどうしても必要なのが、家の周りの通路分として約10坪、
3台分の駐車場として13.5坪だけだとしたら、
(駐車場は1台4.5坪(2.5m×6m))
残りの約55坪はなくても良いと言っても過言じゃありませんからね。

であれば、平屋にすることで敷地の無駄な余白を少なくし、
外構工事にかかる負担を少しでも減らした方が
経済的にもそして維持管理の手間的にもいいと思います。
もっとも、余白を少なくすると言っても、
そもそも土地が広すぎるので限界はありますが。

ゆえ、個人的にはその地域ならではの特別な事情でもない限りは
(その広さの土地しか売っていない)
こんな広すぎる土地は買わない方がいいと思っています。
具体的には、平屋を建てるにしても最大60坪、
2階建てにしたいなら最大45坪もあれば充分といったところでしょうか。

土地が小さくなれば、外構工事面積が小さくなる分、
外構費用は安くなるし、庭の維持管理も楽になるし、
そもそも土地の価格も抑えられるし、固定資産税だって安くなりますしね。


✔️南向きの土地の欠点

2つ目の「やらないほうがいい」ことは南向きならではのことですが、
「日当たりが良いからといって南向きの部屋に拘らない」
ということです。

というのも、写真だけでは読み取りにくいのですが、
この土地は分譲地の一画であり
奥に何軒か家が建つことになるため、
常時、家の前の道を奥の家の方が通ることになるからです。

つまり、南向きの部屋をつくり南向きの窓をつくったとしても、
見られている感が否めないことからカーテンが開けられない家になり、
思っていたような明るさや開放感を感じにくくなってしまう可能性が高い
というわけですね。

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また、敷地も広いことから
大きなウッドデッキを南につくることも出来ますが、
それもプライバシーが担保されていなければリラックスして使いにくいため、
ほとんど使わないただの飾りになってしまう可能性だって充分考えられます。

実際暮らし出した時どうなるのかまで想像しながら
間取りを考えるようにしなければいけないんですよね。

もっともこの土地の場合、敷地が広いことから
部屋やデッキや庭のプライバシーをガッチリ確保出来そうな
要塞みたいな塀をつくることも出来ますが、
そんなのをつくろうものなら、
それだけで200万円以上かかってしまうので、
これはこれで全く現実的な話じゃありませんしね。

そんなわけでこの土地で家を建てる場合、
庭にまでたっぷりと予算がかけられるとしたら、
具体的には外構工事費用に4~500万円ほどかけられるなら
全開南向きプランで考えても良いですが、
出来るだけ予算を抑えながら家を建てたいとお考えだとしたら、
「南向きの部屋に拘らない」ようにしていただけたらと思います。

光には「直射光」と「天空光」の2種類があるのですが、
直射光だけに頼って設計するのではなく
この2つの光を部屋の用途に応じて上手く使い分けることが
明るく開放的な家をつくる上で最も大切なことなので、
これをぜひ覚えておいてくださいね!

それでは、また次回。