vol.121 平屋の現実 その1

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「平屋の現実 その1」です。

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「平屋は高い」というイメージがあることから、
ホントは平屋にしたいのに
最初から諦めている方も決して少なくないと思います。

実際、2階建てのお家に比べて
価格に割高感があるのは確かだし、
原材料費の値上がりによって
なおその肌感覚が強くなっているような気もします。

しかし、感覚的ではなく論理的に考えてみると、
実のところ平屋と2階建てとの間には、
そう大きな価格差が生まれるわけではないので、
その理由について今回はお伝えしていきたいと思います。

これをご理解いただき、
平屋の建築が可能な土地であれば、
平屋を前向きに考えてみてください。

結論から申し上げると、
平屋が高くなり過ぎないのは
「2階建てに比べて面積を圧縮出来るから」ですが、
ではなぜ平屋は2階建てに比べて
面積が圧縮出来るのでしょうか?

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✔️2階建てにあって平屋にないもの

まず考えていただくところがこれです。
例えば「階段」。
2階建てには100%必要で、
平屋には100%不必要なスペースです。
実は階段は上下階合わせると2坪(=4帖)必要なので、
これがなくなればその分家はコンパクトになりますよね。

続いてが「トイレ」。
これも2階建ての場合は、
上下階ともに必要となりがちですが、
平屋になれば基本1つでいけますよね?
(2つ欲しいという方もありますが)
となると、1帖(=0.5坪)分、
さらに家をコンパクトにすることが出来ます。

まずはこれが、面積が圧縮出来る要素ですね。
このほか平屋は2階建てに比べて
「廊下」を少なくしやすいので、
設計によってはさらに面積を圧縮出来たりします。

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✔️2階建てと平屋の決定的な違い

平屋と2階建てには違いがいくつも存在しますが、
その中でも僕自身が決定的に違うなと感じるところが
「家の使いやすさ」です。

2階建ては、
掃除にせよ、片付けにせよ、洗濯にせよ、
上と下とを行ったり来たりしないといけないのに対し、
平屋の場合はすべて平面移動だけで事が足りるからです。

また、当たり前のことですが
平屋は子ども部屋も1階にあるため、
2階建てに比べて圧倒的に
子ども達が自分の部屋を使いやすくなります。

結果、リビングに散乱しがちな
子ども達の勉強道具や遊具などを
自分達の部屋に片付けやすくなるし、
衣類なども同様ではないでしょうか。

そんなわけで何が言いたいのかというと、
子ども部屋と寝室以外の
余分な部屋をつくる必要がないということです。
2階建ての場合にかなり高い確率でつくる
「客間」的な意味合いが強い部屋のことですね。

2階建ての場合は、
子ども達が小さいうちの「収納的」な意味合いと、
親御さんが泊まりに来た時の「寝所的」な意味合いと、
やがて迎える老後の「寝室的」な意味合いを兼ねて
つくらざるを得ませんからね。

そんなわけで、平屋にすると決めた時点で
この部屋代は丸々浮くと考えていただいて支障はないと
思っている次第であります。
4.5帖〜6帖(2.25坪〜3坪)といったところでしょうか。

いかがでしたか?

こうやって冷静に考えてみると
実は、平屋は2階建てに比べて
ずいぶんと面積を圧縮することが出来るため、
2階建てとそう変わらないか、
あるいは安く建てることが出来たりするんですよね。

ただ、平屋の場合は間取りのつくり方が
2階建て以上に難しいのもまた一つの事実なので、
次回は「平屋の懸念点」について
お伝えしていきたいと思います。

それでは、次回。

vol.120 適切な土地面積を知る方法 2階建て編

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「適切な土地面積を知る方法 2階建て編」です。

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過去3回に渡り「平屋」を建てることを前提として、
自分がどれくらいの広さを求めているかを
具体的に数字にしていただいたのですが、
家の広さをご理解いただくと共に、
必要な土地の広さもご理解いただけたのではないかと思います。

ただ、たとえ空前の平屋ブームが訪れているとはいえ、
みんながみんな平屋を求めているわけじゃないし、
全ての地域で平屋を建てることが出来るわけではないので、
今回は「2階建てバージョン」でお伝えしていきたいと思います。

イメージとしては、
土地面積が45坪未満だと
2階建てになってしまうかなと考えているので、
前回までとはちょっと角度を変えて、
45坪の土地ー(余白10坪+駐車場スペース13.5坪(4.5坪×3台)
+デッキスペース3坪)=18.5坪が1階部分となる
2階建てのお家がどんな感じになるのかについて
お伝えしていきますね。

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✔️18.5 坪=37帖の1階部分

それでは、玄関から一つ一つ考えていってみましょう!
まず外玄関に1帖、内玄関と玄関ポーチにそれぞれ1帖ずつ、
そして土間収納に1帖の合計4帖必要だとすると、
残りは33帖になりますよね。

続いて、水回りです。
トイレは1つで1帖、お風呂は1坪タイプで2帖、
洗面スペースに1帖、
脱衣スペースに2帖必要だとしたら
水回りの合計は6帖になりますよね。
そして、残りは27帖ということになります。

では続いてLDKです。
対面式のキッチンに4人掛け(90cm×150cm)の食卓を置き、
3人掛けのソファー(80cm×200cm)を置く場合、
ちょうどいい広さは16帖なのですが、
このLDK内に階段をつくるとしたら
階段スペースを加算しないといけないので、
2帖をプラスした18帖が
LDKスペースとして必要な広さとなります。

というわけで、
27帖から18帖を差し引くので残りは9帖となります。

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✔️2通りの考え方

では残り9帖では
どのようなスペースをつくることが出来るのか?

考え方の1つは、
寝室と収納を1階につくるということです。
仮にセミダブルベッドを2台置くとか、
シングルとダブルを組み合わせるとか、
あるいは布団を敷いて寝るのであれば、
寝室は6帖あれば充分なので、
残りの3帖は収納スペースとして確保することが出来ます。
そして、子ども部屋+@を2階に持っていくという感じですね。

もう1つの考え方は、
寝室と収納を2階につくり、
子ども部屋を1階につくるということです。
9帖ということは4.5帖を2室つくるイメージですね。

この場合、
1階に充分な収納をつくることが出来ませんが、
子ども部屋が1階にあるため、
子ども達のものや常時着用する衣類などは
この部屋に置いておくことが出来ます。

ゆえ、この部屋さえ有効活用出来れば、
LDKがそう散らかることもないのではないでしょうか。

子ども達だって親の気配が感じられない2階より
親の気配どころか姿まで見ることが出来る1階の部屋の方が、
自分の部屋を使いやすいでしょうしね。

ただこの考え方の中には
廊下が含まれていないので、
プライバシーも考えて廊下が欲しいと思っている方なんかは
また違った考え方をすることになります。

いかがでしたか?
なんとなくイメージしていただけたでしょうか。

今回は、分かりやすく
説明させていただくために
土地の広さから逆算して考えてみたのですが、
土地を探す時は、どんな家にしたいかを
ある程度明確にした上で必要な土地の広さを算出する
という流れになるかと思います。

なので、土地を探す前に
まずは自分が建てたい家や広さを
ある程度明確にしていただくために
ぜひこの考え方を覚えておいていただけたらと思います。

それでは、次回。