vol.53 全体を見る力(知識)をつける

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「全体を見る力(知識)をつける」です。

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家の価格を比較する時、
単純に家の見積書だけを横並びにしてしまうと、
一番価格が高い家を建てる可能性が高くなります。

オプションとして必要となるコストが入ってなかったり、
実は、外構代がべらぼうに高かったり、
電気代やメンテコストといった、
住んでから必要となるコストに大きな差が生じるかもしれないからです。

ゆえ、家の価格を比較する場合は、
オプションや外構も含めた上で一体いくらになるのかと、
住んでから必要となる維持費に今後どれだけのコストがかかりそうなのか
にまで目を向けながら考えなければいけません。

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例えば、延床面積30坪(100㎡)の平屋を建てる場合、
中庭がある家とない家では家の価格がけっこう違ってくるのですが、
これは同じ30坪でも工事面積が違ってくるからです。

真四角で家が建てられると仮定した時、
中庭がない家の場合、縦横ともに10mで建てられるため、
壁の全周が40mで済むのに対し、
中庭がある家の場合、仮に中庭を10㎡(=6帖)分つくるとしたら、
中庭を含めた総面積が110㎡となるため
壁の長さがその分増えるし、かつそれにプラスして
10㎡ある中庭部分の壁も工事しなければいけなくなるからです。

このような理由から、
中庭がある家はコストが割高になってしまうのですが、
他方、中庭がある家は割安になり、
中庭がない家が割高になるものも当然出てきます。

まずはカーテンにかかるコストです。
周囲の人からの視線を一切気にする必要がない中庭には、
基本的にカーテンが必要ないからです。

また、採光を中庭から確保することが出来れば、
外周部に大きな窓を設置する必要もなくなるため、
外周部に設置する窓にもカーテンをつける必要がなくなります。

他方、中庭がない家はカーテンなしでは家の中が丸見え過ぎて、
よほどの田舎でもない限り、
とてもじゃないけどリラックスして過ごすことが出来ません。
ゆえ、ほとんどの窓にカーテンという高額オプションが付いてきます。

シャッターにかかるコストも
中庭がある家とない家とでは大きく違ってきます。
中庭の大きな窓には直風が当たらないのに対し、
外周部の大きな窓には台風時などの強烈な直風がモロに当たるからです。

そんなわけで、中庭がある家とない家では、
単純に家の価格が100万円違ったとしても、
オプション費用でトントンになる可能性が高いのですが、
それ以上に大きな違いが生じるのが外構コストです。

中庭がある家には建築代の中にウッドデッキの工事代が含まれているのに対し、
中庭がない家にはウッドデッキ工事代が建築代に含まれていないし、
(外構工事として見積るからです)
防犯性とともにデザイン性が高い中庭がある家には
目隠しや防犯対策が必要ないと同時に、
家のデザインを引き立てるために庭を飾る必要もないのに対し、
中庭がない家は、目隠しや防犯対策とともに
庭を飾ることによって家のデザインの悪さを補充しなければいけないからです。

そして、おそらくこの外構費用に関しては、
少なくとも100万円ぐらい差が生まれるでしょうし、
場合によったら200万円以上差が生まれるかもしれません。

ウッドデッキをつくるとなればそれだけで50万円ぐらいはするし、
そのウッドデッキを使えるようにするために目隠しを設置するとなれば、
さらに50万円ほど余分に必要となるし、
見た目にこだわって塀を木目調でつくるとなれば、
50万円どころか100万円ぐらい高くなってしまうかもしれませんからね。

以上のような理由から、
価格を比較する時は単純に家だけに目を向けるのではなく、
それに付随する工事やコストにまで目を向けた方がいいというわけです。

というわけで、家を建てる時は
全体的なところまで目を向けるようにしてもらえたらと思います。

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vol.52 家づくりの現実

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「家づくりの現実」です。

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昔は1500万円~2000万円ぐらいが住宅ローンの相場だったけど、
この頃は4000万円ぐらい借りるのが当たり前になっていますね。
年収の5倍と言われていた融資の限度額も7倍以上貸すこともありますしね。

先日、とある銀行の方からこのようなお話をお聞きしたのですが、
確かに原材料費高騰によってどんどん値上がりする家の価格を考えると、
土地から買って家を建てる方は、
自己資金がなければそれぐらいの借り入れになってしまうのかもしれません。

しかし個人的には、たとえ共働き世帯だったとしても、
この予算設定は基本オススメ出来ません。
返済していくだけで精一杯の状態になる可能性がかなり高いからです。

例えば、4000万円のうち3000万円をベタ払いで、
1000万円を年2回のボーナス払いにし、
35年返済で1.4%の固定金利で銀行から借り入れしたとしましょう。

この場合、毎月の返済は90,392円となり、
年2回のボーナス返済は181,193円となるのですが、
仮に現在の家賃が70,000円だとしたら、
出費が今よりも20,000円も上がってしまうことになります。

また、賃貸では火災保険を家財にのみに掛けておけば良かったのですが、
家を持つと建物本体にも火災保険を掛けることになるし、
それにプラスして賃貸の時は必要なかった
固定資産税を毎年払わなければいけません。

さらに、家をいい状態で維持していくためには、
定期的に家のメンテナンスをした方がいいので
そのための費用もコツコツと積み立てていかないといけないし、
同時に、やがて老朽化し入れ替えが必要となる
水回りの工事費用も積み立てていくことをオススメしています。

そしてこれらを合計すると、
毎月約20,000円~25,000円ぐらいは必要となってくるのですが、
さて、現在暮らしよりも一気に40,000円~45,000円も
負担が上がるとしたらいかがですか?

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✔️ボーナスはずっとあるのか?

一番懸念するのは、
「ボーナスがずっとあるのか」というところです。
ボーナスというのは給料と違い業績に応じて支払われるものであるため、
今後35年間良い業績がずっと続くかどうかなんて
現時点では誰にも分かりませんからね。

そして、仮にボーナスがなくなるという事態が起こってしまった時は、
(業績悪化や転職といった要因によって)
年2回分のボーナス上積み分を毎月除けていかないといけなくなります。

となると、さらに毎月の負担が高くなり、
とてもじゃないけど家族で旅行に行く余裕なんて
全くなくなってしまうのではないでしょうか。


✔️贅沢な暮らしを諦める覚悟

これは銀行の方が話していたことで私も同感なのですが、
家にこれだけのお金がかかってしまうのであれば、
家以外のことを「ずいぶんと我慢して暮らす覚悟」が必要だと思います。
つまり、贅沢はしないということです。

例えば、外国車や高級車といったいわゆるいい車は絶対に買わないとか、
基本的には外食には行かないとか、
旅行に行くのは年1回にしてその旅行も泊まりでは行かないとか、
あるいは行き先を飛行機に乗らなくて良い場所にするとか、
時計やバイクのほか、お金がかかる趣味は全て諦める、といった感じですね。

理由は、子供たちを育てていくためには想像以上にお金がかかるから、
そして、今後は天引きが増えるため、
よほど給料が上がらない限りは確実に手取り金額が減っていくから、
でも、そんな中でも老後に向けて積立もしていかないといけないからです。

これから35年間、つまり住宅ローンに縛られている間、
ずっとそれでも我慢出来ると断言出来るのであれば、
家に全身全霊を捧げてもいいと思います。

しかし、それはちょっと嫌だなーとお考えだとしたら、
家づくりの予算をもっと現実的に考えるべきだし、
家づくりの予算を計画する前にこれから必要となるコストを知り、
その備えをしていくために現在の状況を見直すべきだと思っています。

なので「みんながそうしているから」という理由だけで、
同じような選択をするのは絶対にやめていただければと思います。
家を建てることが目的ではなく、
家は家族が幸せになるための一つの手段であることを忘れないでください。
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