vol.55 両端な平屋の考え方

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「両端な平屋の考え方」です。

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一般的には「平屋を建てたいなら土地は60坪以上最低でも必要だ!」
と言われていますが、
土地面積が大きくなればなるほど
土地価格は高くなるし外構代も高くなります。
そして固定資産税も高くなります。

かつ、平屋を建てるなら
正方形(真四角)ではなく長方形(横長)で建てるべきだと言われていますが、
家の形は縦横のバランスがいいほどコストが抑えられるため、
この建て方は逆に家のコストを押し上げてしまう要因となります。

そんなこんなで、自然と平屋は家代も土地代も外構代も高くなり、
いつしか金持ちの家的なイメージが出来てしまっているというわけですが、
今回は、この2つについての説明と、
これらとは正反対の考え方についてお伝えしていきたいと思います。

どっちが正しいとかどっちが間違っているかという話ではなく、
あくまで「選択肢はそれだけじゃないよ」というお話なので、
知識の幅を広げると思って読んでいただけたらと思います。

✔️土地が60坪以上必要な理由

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この図は、60坪の土地に2階建てを建てた場合と、
同じ面積の平屋を建てた場合こうなるよということを記した図なのですが、
ご覧いただければ一目瞭然。

2階建ての家は、南側の境界までの距離が6mもあるのに対し、
平屋の家はわずか1mしかないため、
確実に南向きの部屋に直射光が入ってきません。

ゆえ、平屋を建てる場合は、2階建ての家のように
南側の境界までの距離を充分にとらなければいけないのですが、
そうなれば点線で囲った分だけ
余分に土地を買わざるを得なくなってしまいます。
この図だと約30坪です。

これが平屋を建てる場合
「60坪では全然ダメ!80坪~100坪ぐらいないと話にならない!」
と言われている理由ですね。

赤のラインのところに
メインの採光を取る大きな窓をつくるのが前提となっているなら、
致し方のない話です。

✔️長方形(横長)じゃないとダメな理由

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このロジックも至って簡単。
図のAとBを見比べていただくと一目瞭然ですが、
正方形より長方形の方が南向きの部屋をより多くつくれますよね。

また、真四角の場合、
家の中心付近には光が届きにくいのに対し、
横長にすればどこの部屋にも満遍なく光が入ってきそうな気がするので、
その問題もあっさり解決出来るような感覚に陥ります。

実際のところは丸見え窓には全部カーテンが閉まっているので、
「明るいのか?」と言われると、
何とも言えません。

そして、もう1つ注目してもらいたいところが家の外周の長さです。
このAとBは、形は違えど面積は同じなのですが外周の長さが違います。
足し算をしていただくと分かりますが、
Aが48mなのに対しBは52mあります。

つまり、同じ面積でも
正方形より横長になった方が家のコストは上がってしまうわけなのですが、
これだって言われるまで案外誰も気付かないんですよね。

✔️正反対の平屋の考え方

では、ここからはこれまでの話と全て正反対の話をしていきます。
結論を先に述べると、土地は60坪以下で充分だし、
かといって家が暗くなるわけじゃなく、
むしろ比較にならないぐらい格段に明るくなるし、
土地代も家代も外構代も全て抑えられますよ、という話です。

まず、土地が60坪以下でいい理由は、
日当たりが悪い土地なら
日当たりが悪い土地なりの採光の取り方をするからです。

先程の図で言うと
南側の境界からわずか1mしか離れていない赤ラインの位置に
LDKを持ってくるのではなく
南側の境界から充分な距離を取った場所にLDKを配置するという感じですね。
そして、LDKの南側に中庭をつくり
たっぷりと直射光を確保するという感じでしょうかね。

そして、どうしても直射光が入らない場所には、
直射光が必要じゃない部屋を配置するという感じですね。
太陽が昇っている間は使わない寝室とか、
自然な明るさの方が心地いい子供部屋とか玄関とかですね。

これらの部屋には明るさは必要ですが、
かといってそれが直射光である必要はなく、
中庭からの間接光でもいいわけですからね。

そして、中庭があることによって採光が安定するため、
採光のために家の外周部に大きな窓をつくる必要がなくなります。
結果、間取りが分かりにくい家が出来上がります。
スッキリした美しいデザインの家が出来上がります。
家の外壁が塀代わりになる家が出来上がります。

つまり、防犯やデザインのために
外構に費用をかける必要が一切なくなるというわけですね。
これで、土地代と外構代をグンとカット出来ましたね。

では、最後は家代です。
家に関しては中庭をつくるとコストアップします。
外壁面積が中庭の分だけ余分に必要になるからです。

ゆえ、そのコストアップを相殺するために、
必要ないものを無くすとか、
あるいは必要なものでもサイズを見直すなどの工夫が必要となります。
廊下、階段、余分な部屋、などです。

これが出来れば、コストアップすることなく
誰でも中庭があるお家を手に入れることが出来ます。

というわけなので、一口に平屋と言っても、
これだけ両極なタイプが存在することも
頭の片隅に置いておいてもらえたらと思います。
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vol.54 リアルな現実と家づくり

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「リアルな現実と家づくり」です。

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「終身雇用なんて過去の話だし、
もはや年金であなたの老後を支えることも出来なくなりました。」

ざっと言うと、これが今の日本の流れであり、
これが意味することは
「私たちはどうやら75歳になっても、
いや80歳になっても普通に働いていないといけない。」
にもかかわらず昔のように
「同じ会社で勤め続けることは間違いなく出来ない。」ということです。

実際、大手企業では中高年を対象とした希望退職の流れが加速していて、
「45歳リストラ時代」と言われているし、
身近なところでもそれで退職した人が何人もいますしね。

要するに今は
「まー、そこから先は各々頑張って!」時代になったというわけですが、
家づくりだってもちろんこの流れを見越した上で計画を建てるべきですよね。

コロナショックを解決するためにたくさんバラまいたお金だって、
今後、増税によって回収していかないといけないし、
少子高齢化がもっともっと進めば社会保険料の負担はさらに上がるだろうし、
所得や手取りが上がらないのに物価だけがインフレになっているし、
インフレを抑えるために金利が上がる可能性も高いし、という状況ですしね。

そんなわけで、
もはやこれからの家づくりは、お金に対する考え方を変え、
その上で計画を立てていかないといけないというわけですね。

たとえ、あなたの周りの人たちが
そんなことお構いなしで家づくりをしているとしても、です。
また、たとえ住宅会社の営業から
予算をもっとあげないとダメだと言われたとしても、です。

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✔️住宅ローン4000万円時代!?

仕事柄、銀行の方と話をする機会が多いのですが、
その時よく耳にするのが
「4000万円ぐらい借りるのが当たり前になってきた」ということです。
しかも、このご時世なのでボーナスなしで、とのことです。

つまり、当たり前のように月11万円以上もの返済を
(固定金利ならもっと高くなります)
これからずっとやり続けていかないといけないということなのですが、
果たしてこれは、家計的に本当に大丈夫なのでしょうか。

例えば、ご主人の年収が500万円だとしたら
この方の毎月の平均手取りは約28万円となるのですが、
ここから先程のローン返済を差し引いた
残りの額だけで生活していけるでしょうか?

車を維持し、食費に雑費、携帯代に水道光熱費に塾代、
保険代に外食代に娯楽費、その他諸々を17万円でやりくり出来るでしょうか?
この他、家を持つとこれまで必要じゃなかった
税金や火災保険、家のメンテ費なども必要になるわけだし、
これに加えて、子供たちの進学資金だって
多少なりとも積み立てしていかないといけないわけですからね。

なかなか厳しい状況ですよね。
貯蓄や積立をする余裕どころか、
必要なお金さえも残らないかもしれませんよね。

つまり、この時点で奥さんも働き続けることが前提となってしまうのですが、
個人的に男性はここに頼り過ぎないようにすべきだと思っています。
奥さんは、働きたくても思ったように働けない状況に
いつ遭遇するか分からないからです。
出産や育児、介護といった要因によって。
自分だって、今の給料をキープ出来る保証なんてどこにもないわけですからね。

なので、家を建てるにあたっては、
勢いと直感に任せて楽観的に突き進まずに、
社会・経済の流れも勉強しつつ、将来のことまで考えた上で、
「これならいける!」という資金計画のもと進んでいただければと思います。