vol.103 北向きの土地はダメなのか?

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「北向きの土地はダメなのか?」です。

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一般的に考えて
北向きの土地を積極的に買おうとする人はそういません。
北向きの土地は日当たりが悪いことが多いからです。

なんせ、すぐ南に隣接して家が建っているのは当たり前で、
その上、東や西まで家に囲まれていたら
まさに四面楚歌状態ですからね。

そんなわけで北向きは
そうじゃない土地に比べて価格が安く設定されているし、
かつ価格交渉にも応じてもらいやすい
というメリットがあるのですが、
とはいえ、そうは言っても光が入ってこないというのは
家を建てる上で致命的なデメリットとなりそうなので、
たとえ安く土地が買えるとしても
なかなか手が出ないのが普通だと思います。

また、北向きの土地には
先程申し上げた顕在化されたデメリットの他、
家が完成するまで気が付きにくい潜在的なデメリットもあり、
これが北向きの土地を買ったことを
さらに後悔させる原因となりかねません。


✔️家が汚くなりやすい

北向きの土地は2つの意味合いで
家が汚くなりやすいというデメリットを備え持っています。

1つ目が外観がカッコ悪くなりやすいことです。
なぜなら、北向きの場合、
洗面、トイレ、お風呂といった水回りや階段スペースなどが
正面となる北面に配置されやすいからです。

つまり、正面に窓がたくさん出来やすい上、
その形や高さなども不均一になりやすいから。
かつ水回りに必須である換気扇なども正面につけられやすいため、
どうしてもスッキリとしない外観になりやすいというわけですね。

場合によったら、
勝手口が正面につけられることもあるし、
給湯器やエアコンの室外機などが
正面に置かれることもあり得ますしね。

2つ目は1つ目を原因とする二次的な被害ですが、
窓から垂れ流れる雨水によって出来る「垂れじみ」や、
換気扇の下に出来る黒い汚れなどが
家の正面に出来てしまうということです。

直射日光が全く当たらない北面は
なおのことこの汚れが出来やすいので、
住んで数年後には見るも無惨な姿になっていることだって
充分あり得ると思われます。

ゆえ、北向きの土地で家を建てる時は、
日照問題と外観問題が同時にクリア出来るように
間取りを設計していかないといけません。


✔️設計とは土地の問題解決手段

例えば、日当たりが悪い土地で
リビングに充分な光を届けるためには、
土地がそれなりに広い場合は、
直射日光を入れたいリビングを
南に建つ家から充分な距離をとった場所に配置し、
中庭をつくりつつ
リビングの南につくる建物を平屋にするという手段があります。

こうすることによって
光を阻害する障害物がなくなるので、
安定的に光が入ってきます。

また、土地がそれほど広くない場合、
つまり中庭をつくる余裕がない場合は、
リビングに吹き抜けをつくるという手段があります。
1階に充分な光が差し込まないのであれば、
より高い位置から光を取り込めばいいからです。

階段や水回り至っては、
思い切って南に配置すると良かったりします。
階段は吹き抜けとなっているため階段を南につくれば
それだけで自然と光をたっぷりと家の中に取り込んでくれるから。

水回りは南に配置すれば
統一性のない窓や換気扇などを全て家の裏に隠すことが出来るから。
また、中庭がある場合などは
中庭から光を入れれば採光問題もあっさり解決しつつ、
洗濯動線までも抜群に出来るからです。

そんなわけで今回の話の結論としては、
北向きの土地は一般的に最も敬遠されがちですが、
こういった解決策を知っている住宅会社からすると、
実はそう悪くない土地だということです。
いやむしろ価格をグンと抑えられることから
前向きに選んでいただいてもいいと思っています。

というわけで、これから土地をお探しの方は、
ぜひこの記事を参考にしつつ土地探しにのぞんでみてください。

それでは、また次回。
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vol.102 表だけではなく裏も見る

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「表だけではなく裏も見る」です。

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土地探しをしている誰もが
「土地を買うなら南向きがいい」
とお考えになると思います。

間違いなく日当たりが良いし、
全ての部屋を南向きに出来そうだし、
洗濯物もよく乾きそうだし、
お布団も干しやすそうだというイメージが
頭の中に膨らむからです。

そんなわけで南向きの土地は、
土地探しをしている方たちから
絶大なる支持を得ているわけですが、
そんな多くの方の心を魅了する
全く非の打ちどころのなさそうな
この南向きの土地でさえ
実は大きなデメリットが存在します。

というわけで今回は、
南向きの土地が持つ大きなデメリットについて
お伝えしていきたいと思います。

もちろん南向きに限らず全ての土地が
メリットとデメリットの両面を持ち合わせていて、
そのデメリットの多くは設計によって
解決することが出来るのですが、
この南向きの土地に関しては、
南向きのメリットが設計による
デメリットの解決を阻みやすいという
なかなか厄介な問題を抱えており、
これをスッパリと解決するためには、
建てる方の理解が必要となってくるので、
ご理解いただく意味も込めてお伝えしていきたいと思います。

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✔️予算が大幅にアップする!?

ズバリ南向きが持つ最大のデメリットがこれです。
なぜなら、土地代はもちろん、
建築代や外構代までも割高になってしまうからです。

土地代が高くなる理由は、
"みんなが欲しがる=「供給<需要」"
という図式が出来上がりやすいからです。

つまり、人気がある南向きの土地は
労力をかけなくても売れやすいため
そもそも価格が割高に設定されているし、
値引き交渉にも応じてもらいにくいことから
高く買わざるを得ないというわけですね。

では、土地が高い理由は分かるにしても
なぜ建築代までも上がってしまいやすいのでしょうか?

その理由は、南向きの土地が
最もプライバシー性と防犯性が悪くなりやすいからです。
せっかく日当たりが良い南向きの土地を買った理由は、
出来るだけ全ての部屋を南向きでつくり、
南向きの窓からたくさんの光を入れたいからだと思いますが、
そうすれば居住スペースが四六時中丸見えになってしまいます。

ゆえ、外からの視線をシャットアウトするために
それらの窓には全て遮光カーテンをつけなくてはいけなくなります。
レースカーテンだけでは丸見えを防ぐことが出来ないからです。

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また、南向きの土地で
南向きに窓をたくさんつくるということは、
向かって正面にガラスが多くなるということでもあるので、
台風の時や強風の時に何かが飛んできても大丈夫なように、
シャッターもつけざるを得なくなります。
旅行などで数日間家を空ける時は、
防犯のためにシャッターを閉めておきたいでしょうしね。

そんなわけで、大きな窓の数だけ
高価な遮光カーテンとシャッターという
オプション工事が必要になるというわけです。

外構に関しても、
防犯とプライバシー強化のための工事が必要になるのが
コストアップの大きな要因です。

ウッドデッキをつくるにしても、
丸見えの場所にオープンでつくると
使いたくても恥ずかしくて使えなかったり、
家族でバーベキューをするにしても、
プールをするにしても、日向ぼっこをするにしても、
あまりに丸見えだと気が引けちゃいますね。

そんなわけで、
家の中をカーテンで隠すのと同様に、
目隠しのために塀をつくることによって
ウッドデッキスペースを見えないようにせざるを得ない
というわけです。

かつ、家のカーテンや窓を少しでも開けられるように、
目隠しのための植栽やフェンスを
つくってもらわざるを得なくなるというわけです。

要は、日当たりが良い土地を買ってしまったがために
日当たりがいい間取りをつくらないといけない
という作用が働き、それが結果的に
防犯性とプライバシー性の悪さを招き、
それを解決するために
先程申し上げたような解決策を講じなければいけなくなり、
土地だけじゃなく家も外構も
コストアップさせてしまうというわけですね。

そして、必然的に借入額が増加するというわけです。
図式としては、不動産屋もより儲かり、
建築会社もより儲かり、外構屋もより儲かり、
銀行もより儲かるのに対し、
建てた方だけが負担が上がるという感じです。

なので、
巷では無敵のように扱われている南向きの土地と言え、
経済的なデメリットが存在すること、そしてそのデメリットは
ともすれば最も厄介なものかもしれないことを
ぜひ知っておいてもらえたらと思います。

それでは、また次回。