vol.36 重要な土地探しのタイミング

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「重要な土地探しのタイミング」です。

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この仕事をしていてつくづく実感していることが、
かなり多くの方が土地に予算を使い過ぎてしまっているということです。

そして、その原因が2つあり、
1つは前回お伝えした「南向きの土地にこだわり過ぎること」
そしてもう1つは「必要以上に広い土地を買ってしまうこと」です。

とりわけ、あなたが住みたい地域の土地の値段が高い場合、
この2つの要素が組み合わさると、
とんでもないぐらい予算オーバーすることになってしまうので、
そんな不測の事態に陥らないために
前回とともに今回の記事もご覧いただければと思います。

では今回は、土地の広さはどれくらいが適切なのか?
についてお伝えしていきたいと思います。
言い換えると、自分がどんな家を建てたいのかを
ある程度把握した上で土地は探したほうがいいという話です。

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✔︎必要な土地面積の算出方法

土地にも形の良し悪しがあるので、
この理論が、どの土地でも当てはまるわけではありませんが、
必要な土地面積を算出する上で知っておくといいことが、
敷地は家が建つところと駐車場部分と家の周囲に出来る余白の
3つから出来ているということです。

そして、駐車場に関しては1台につき約4.5坪必要となります。
計算方法は、2.5m×6m=15㎡、15㎡×0.3025=4.5375坪です。
ゆえ、仮にあなたが確保したい駐車場が3台分だとしたら、
4.5坪×3台分=13.5坪、駐車場スペースとして必要だということですね。

では続いて、家の周囲に出来る余白についてですが、
この余白とは、境界と家との間に出来る通路のことであり、
家庭排水や雨水の配管を通し、
エアコンの室外機や給湯器などを置くための場所ですね。
また、家の軒や樋が隣の敷地まで
飛び出さないようにするために必要な余白です。

この余白に関しては、多少の差異は出るかもしれませんが、
いつも約10坪ほど必要だと考えるようにしています。
つまり、車を3台置きたいとしたら、
13.5坪+10坪=23.5坪が家以外に必要だということになるというわけですね。

そして、これに1階の建築面積を合わせた面積が
あなたが探すべき土地の広さだということですね。

✔︎土地と建物はセットで考えるもの

では、一つ例を上げてみると、
ヒアリングの結果、仮にあなたが建てたいと思っている家が
2階建ての家でその1階の建築面積が20坪としたら、
そして確保したい駐車場が3台だとしたら、
あなたが探すべき土地の広さの目安は、
20(家)+10(余白)+13.5(車)=43.5坪だということになります。
なので、45坪ぐらいの広さを目安として土地を探し始めます。

あるいは、ヒアリングの結果、
あなたが建てたいと思っている家が平屋だとして、
その建築面積が30坪だとしたら、
そして、確保したい駐車場が4台だとしたら、
あなたが探す土地の広さの目安は
30(家)+10(余白)+18(車)=58坪だということになります。
なので、60坪ぐらいの広さを目安として土地を探し始めます。

このように土地を考えていただくと、
必要以上に広い土地を探そうとすることも選ぶこともなくなり、
土地にお金をかけすぎてしまう可能性がグンと少なくなります。

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✔︎60坪以上の土地は買わなくていい?

そして、最後に覚えておいて欲しいことが、
60坪(200㎡)以上の土地は買わない方がいいかもしれない...ということです。
たとえ、あなたが平屋を建てたいと思っていても...です。
土地面積が60坪を超えると、
超えた部分は固定資産税が2倍になるからです!

具体的に例えると、
評価額が坪あたり15万円の土地を100坪買ったとしたら、
60坪までは15万円÷6×60坪×1.4%=2.1万円なのに対し、
60坪を超える部分は15万円÷3×40坪(100-60)×1.4%=2.8万円となり、
毎年毎年、この税金を払い続けていかないといけなくなってしまいます。

また、それだけじゃなく、広い分土地の価格も高くなるし、
余白が多い土地はそこに工事も施さないといけないため、
外構工事費用も高くなります。
つまり、家づくりにかけるコストが高くなってしまうというわけです。

そんなこんなで、土地を選ぶ時は、
自分が建てる家にフィットするちょうどいい土地を探すようにしてください。
そして、そのためにも土地を探す前にまずは建築会社を決めて、
どんな家にしたいのかをある程度明確にしておくようにしてくださいね。

それでは、また次回。

vol.35 南向きの土地が損をする?

こんにちは。
お家づくりコラム、本日のテーマは「南向きの土地が損をする?」です。

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あなたが土地を買わないといけないとしたら、
確実に日当たりが良い土地にしたいとお考えになると思います。
そして、その代名詞である南向きの土地を中心に
土地選びをすることと思います。

確かに、南向きの土地は土地全体に日陰が全く出来ないため、
そうじゃない土地に比べると抜群の日当たりをほこるわけですが、
一方で、大きなデメリットが2つあることも知っておく必要があります。

では、そのデメリットとは一体どんなことなのでしょうか?
言われてみると「ハッ!」と感じることなのですが、
案外知らないものなので、
ぜひ、この機会に覚えておいていただけたらと思います。

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✔︎高い・高い・高い・高い

なぜ「高い」という言葉を4つも並べたのかというと、
土地・家・外構・借り入れ、
この4つが全て最も割高になるのがこの南向きの土地だからです。

1つ1つ紐解いていきましょう。
まずは土地から。

これは誰でも分かることですよね?
あなたが良いと思っているものは、
他のみんなも良いと思っているから。
あなたが欲しいと思っているものは、
他のみんなも欲しいと思っているからですね。

つまり、供給よりも需要が上回ると予想される商品には、
自然と高い価格が設定されるというわけです。
かつ値引き枠も一切ないって感じですね。

では、続いて家と外構について。
家と外構が割高になる理由は、
南向きの土地に建つ家をご覧いただくと一目瞭然です。

南向きの土地に建つ家は、
基本的に外から丸見えになってしまうため、
プライバシーを確保するための工事が必要不可欠となります。

例えば、リビングの延長線には
ウッドデッキをつくるとします。
外から丸見えのままのデッキでは、
落ち着いてバーベキューも出来なければ、
のんびりとリクライニングチェアに座って
日向ぼっこも出来ないですね...

それゆえデッキの周りに目隠しをつくるか、
あるいは敷地の塀を高くするか、
あるいは木を植えないといけなくなり、
それらに余分なコストがかかることになります。

また、南向きの土地に建つ家は、
間取りが一目瞭然で分かるため、
防犯にも配慮する必要があり、
住む地域によってはセコムやアルソックといったセキュリティ会社に
お願いすることも検討する必要があるかもしれません。
となると、数十万円余分な工事費用とその維持費用がかかります。

さらに、南向きの土地では、
南面に設置する大きな窓の数も最も多くなりやすいため、
シャッター代金もバカになりません。
なんせ、南向きの土地は最も台風の直風を受けやすいため
シャッターが必需品となるからです。

そんなこんなで、家や外構にも余分な工事が必要となり、
土地に加えて家や外構まで高くなりやすいのですが、
この結果、高くなるのが銀行からの借り入れというわけですね。


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✔︎せっかく日当たりがいいのに...

そして、もう1つのデメリットが
ずっとカーテンが開けられないことです。
土地によりますが、道路から家の中が丸見えになるため、
ずっと閉めておかないといけませんからね。

この場合、家の中は朝からずっと薄暗い状態になってしまいかねません。
一番メインの窓から光を採り込むことが出来なくなるからです。

悲しい現実ですが、
これもまた南向きであるがゆえに起こりやすいことなんですよね。

以上の2つの理由から、
南向きの土地にこだわる必要は一切ないと思っている次第です。

もちろん、南向き同様にその他の土地にも、
必ずメリットとデメリットの両方が存在しますが...。

✔︎土地選びで重要な視点

それは、その土地で考えられる
デメリットまで先回りして考えられるかどうかです。
南向きの土地の場合、
プライバシー問題と明るさ問題、
そしてなによりコスト問題ですね。

「えっ!?そんなことまで!?」と思われたかもしれませんが、
本当に住みやすい家をつくるためには、
そこまで考慮しながら土地を選び、
その土地に合わせて間取りを考えなければいけないですし、
そんな家をあなたの予算の範囲内で仕上げることがなにより重要なことです。

なので、土地選びは自分たちだけでするのではなく、
また家の専門家でもない不動産屋さんに意見を仰ぐでもなく、
必ず建築のプロである住宅会社と一緒にしてもらえたらと思います。

土地選びに失敗しないためには、
あなたが土地にかけられる予算と、
どれくらいの広さの土地が必要なのかと、
あなたが建てたい家の実現のためには、
どんな土地が理想的なのかを知っておくことが必要不可欠です。

それでは、また次回。